2023年4月26日水曜日

試行は身近なところで/ななかまどの花

最近、ある写真家の本を読んでいたら、「遠くの絶景よりも近くのフィールド」という言葉があり、身近に自分のフィールドを持つことの重要性を語っておられました。

大変納得できます。
いつでも気軽にいけるフィールドがあると、思いついたときに、いろいろな実験ができます。可能性を色々とテストできますから。

昔、「創造性にはスピードが不可欠」というエントリーを書きました(ガリラボ通信2014/8/22)。
良いものを生み出すには1発勝負ではなくて、たくさんの試行が必要です。そうしたたくさんの試行を可能にする状況を作れるかどうかが、才能のひとつではないかと思います。

昨日、ゼミ生と話していると、玉名で活動するわけですから、玉名に出かけることを優先している様子で、現地にいけば問題が魔法のように解決してくれるように思っているふしがあります。

もちろん現場に行くことは大事です。しかし、それは絶対にそうかというとちょっと違う。昔、地域づくりで活躍されていた延藤先生(だったと思いますが)から、
トラブったらトラベルや
との名言を聞いたことがあります。熊本地震の後、もやいすとの授業設計をするとき、この言葉を重視していことを思い出します(ガリラボ通信2016/8/16)。
この名言は、現場の大事さを言われているわけですが、注意すべきことは、「トラベルや」の前に「トラブったら」があることが実は意外に大事で、現場に行く前に色々と試行していることが一定程度前提になっているように思います。そうした前提があって初めて現場にいくと現場の問題が見えるようになるはずです。ちなみに、このことについては、授業で、「百聞は一見に如かず」の別解釈としてよく学生たちに話しています。

ということなので、何もせずに、
とりあえずトラベルや
というのでは多分あまり生産的ではないはずです。しかし、ゼミ生に接しているとこの思考形態に陥ってしまうことが少なくないようです。

本来の現場に思いを馳せつつ、しかしぐっとこらえて、身近なところでたくさんの試行を重ねる。そうしたやり方で知見を深めていると、多くの場合よい成果を出してくれるはずです。私も、大学時代の実験を通してそうした力を学び、身につけ、今に至っています。ゼミ生にも、この行動様式を、ガリラボでの活動を通して体得してほしいと思っています。


・・・・・・・別の話題・・・・

次は、先々週、散歩しているとき、偶然見つけた花です。見とれてしまい、写真に収めました。昨日になって、これは「ななかまど」という樹木に咲く花だということを、ほんとにたまたま知りました。
「ななかまど」という名を初めて聞いたとき、それは居酒屋の名前として知ったので、ななかまど=居酒屋が私の中に刷り込まれていました。実はそれは樹木の名前だったということを昨日知って、ものすごく驚き、この驚きを伝えたくてOG(M20)アクストにそのことをLINEしました。


ななかまどは、アクストの国内外に散る教師仲間のことです。度々、このガリラボ通信にも登場しています。
1年間、グループ「ななかまど」の議論に私も参加させてもらいました。オンラインでの議論を通し、このグループは先日立派な書籍を完成させたのでした(ガリラボ通信2023/3/9)。
「ななかまど」に驚いてアクストに連絡したわけですが、アクストから戻ってきた返信でまた驚きました。
なんと、OB(M16)大野と初対面したそうです。4月から大野は菊池郡内の小学校の校長先生として赴任したようで、その関係で会ったようで、「初対面でした」とのことでした。
コロナ禍で院生との飲み会を開催できず、それで院生同士で会う機会がなかったので、アクストはほぼ院の卒業生とは面識がありません。
しかし、大野との初対面ではガリラボの話で盛り上がりましたとのことでした。
ガリラボが縁になってこうしたつながりができるのは嬉しいことです。
今年度で、ガリラボ自体は物理的な姿を消すことになります。消滅はしますが、今後も卒業生間のつながりに役立っていくといいなと思っています。


ななかまどの花言葉には「私はあなたを守る」というのがあるようです。
守られる側より守る側でありたい。