2019年1月6日日曜日

ある日本人学生による優れた行為のデザイン

日曜日ですが、まだ本調子でないため、テニスは我慢して自宅でおとなしく修士論文の添削作業をやってます。

合間に、Wiredの記事で、ストリートディベーターという新しい職業のことを知りました。
この職業を考え出したのは日本人の学生です。
オランダのデルフト工科大学院修士課程の研究の一環で考え出したものだそうです。

参考:物乞いの行為をデザインする

ちなみにこの方は、この大学のインタラクションデザイン研究科に所属されています。
なんでも、この研究科の方針は、
 「人 - 物 - 場 - 社会文脈」の関係性を包括的にデザインすること
がテーマらしく(参照)、非常に魅力的です。
インタラクションデザインとか、私がいつもやりたいと思っていることそのものなので、この方針に激しく共感してしまいました。

さて、この方の行為のデザインとして考えだされた
  議論を生み出す「ストリートディベーター」という職業
は、2017年の「CREATIVE HACK AWARD」でグランプリを受賞したプロジェクトで生み出されたようです。

ストリートディベーターは
路上で問題提起をし、硬貨の重さによって世論を可視化する職業である。これは、路上での「ものごい」に代わる行為でもあり、自尊心を損なわずにお金を稼ぐことができる。

というもので、それによって
道ゆく人と友好的な対話を通じて、路上生活者の自尊心を守り、社会とのつながりを取り戻すことを目指している。

ということです。次の映像でその概要はおおよそつかめるものと思います。
研究の一環でもあるので、実験もされたそうで、それによると
ロンドンで実際に4人に天秤型のデバイスを渡してストリートディベートをしてもらったところ、平均で1時間に13.5 ポンド( 約2000 円)を稼ぎ、12 人との会話が発生する

ことがわかったそうです。なんと素晴らしいことでしょう。
これによって、例えば
  英国のEU離脱(Brexit)
で議論してもらうとき、離脱に賛成する富裕層の英国人と、それに反対する低賃金の移民とが、通常では決して交わることのない人々が路上で対話する場がデザインされるわけです。

優れたデザインの力は偉大です。



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