2019年4月30日火曜日

橋をかける~新たな世界へと飛び出す

いよいよ平成が終わります。
昭和は私にとっては、自分だけのことを考え、自分の成長だけに向けて行動していた時代でしたが、平成は、我が子たちと共に歩んだ時代でした(長男が平成元年生まれで、令和元年に就職することになりようやく独り立ち。平成は我が子とともに歩んだ時代でした)。
子どもを育てることで、自分だけのことを考えていた時よりも、視点が増えてまた別の成長をしたように思います。
(エンゲストローム流に言えば、私にとっては昭和の時代は垂直方向の拡張だけしか見えてなかったものが、平成という時代に入ってから子どもの成長に付き合っていく中で水平方向の拡張が追加されたと言えそうです)
もうひとつ付け加えると、私のとって平成は県立大という職場で過ごさせてもらった時代でもありました。平成6年4月に県立大学に赴任し、令和6年3月に(特に問題がなければ)県立大学を退職する予定です。
無数の人たちが、それぞれの思いを胸に、平成の時代に別れを告げているのではないかと思います。

平成最後のGoogle

  
さて、数日前、APUの学長さんが生命保険会社のCEO時代に書かれた「日本の未来を考えよう」というデータブックを入手しました。
日本の現在を様々な計量データを使って理解し、未来について考えてみようとものだそうです。
まだ、「・・・だそうです」の段階です。
「まえがき」きしか読んでません。
ただ、そのまえがきに、著者の出口氏が物事を考えるときに心がけていることが書いてありました。それは、
  タテ軸とヨコ軸を持つこと
だそうです。
タテ軸とは時間軸・歴史軸で、過去にさかのぼって同じような問題を考えた人はいないのかどうかを調べることで、ヨコ軸は空間軸・世界軸で、「他の国ではどうなのか」「ライバル企業はどうなのか」といった情報を集めて比較して、判断の精度を高めるようにされているそうです。
ニュートンの言葉にある「巨人の肩の上に乗る」ということでしょうが、こうした2次元での調査・分析が大事なことは言うまでもないことです。
ただし、「言うは易く行うは難し」です。
私自身も怠ることが多いのですが、だからかもしれませんが、こうした2次元的思考や行動で、ものごとに対応していくことがなかなかゼミ生に伝わりません。

例えば、何かを企画するとします。
タテ軸もヨコ軸が全くないというわけではないですが、明確な軸ではなく産毛の程度のもので、発想がほぼ自分たち中心、自分の立ち位置から見えている範囲だけの知識で議論していることが多いようです。
自分の立っているところだけというと、すなわち「0次元の世界」に住んでいるようなもので、これでは2次元の手法でやっている人に太刀打ちできるものではありません。
この違いはとてつもなく大きい。

それで、白亜祭の企画を始めた12ゼミ生に、日本中あちこちの学園祭の特徴を調べて研究室が学園祭に参加する意味を考えること、そしてガリラボの白亜祭での活動の特徴は何なのか、何を意図して参加してきたのか過去を調べるようにとも話したことがあります。
実行委員のメンバーで2次元的調査を行い、それで新しい企画を生み出していったのでした。
それがまた単発的で、なかなか次の世代に伝わらないという・・・。

0次元世界に(無意識に?)安住している場合、おそらくそこから脱出した方がいい。
経験的にそう思います。
今現在の自分のあり方に自覚的になり、もしも0次元世界に安住しているのであれば、何らかの軸を付け加える努力をしてそこからの脱出し、そうして自分に降りかかってくる課題に取り組んでいってほしいものだと思います。
大学では単位を取っていくことはもちろん大事ですが、それ以上に、当たり前のことですが、勉強をするところです。勉強とは、そうしたスキルを身につけるためにあるものだと思います。
実際、そうしたスキルがないと、社会の変化に向き合い、それに対抗して自分を変化(成長)させていくことは難しいでしょうから。

唐突ですが、先日の毎日新聞の「余禄(子供のころにたくさん本を読んでおくと)」で、美智子皇后の講演「橋をかける」が話題になっていました。その中で、皇后さまの
(読書は)ある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました

という言葉が引用されています。
このコラムを読み、自宅の書棚にある「橋をかける」を取り出し、読み直してみました。



平成の終わりに、改めて読み直すことができて、非常に良かった。
「橋をかける」の最後は次の文章で終わっています。
子供達が、自分の中に、しっかりとした根をもつために
子供達が、喜びと想像の強い翼を持つために
子供達が、痛みと伴う愛を知るために
そして、子供達が人生の複雑に耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、やがて一人一人、私共全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために。

子供達に限らず大人でも大事なことだと思います。
0次元世界から抜け出し、新しい世界へと「橋をかけて」いくためにも多様な読書は欠かせません。
 
たまたまですが、天皇皇后両陛下が軽井沢でテニスをされている2010年のNHKニュースを目にしました。
2010年NHKニュース
ぼんやりと見ていて、途中で、目がテンになりました。数秒程度、映っていただけですが、見慣れたフォームの方がプレイされているではありませんか。
五百旗頭前理事長です。
始まりから25秒後ぐらいのところです。
在職中、何度も一緒にテニスをご一緒したので、フォームを忘れようがありません。
理事長とよくペアを組んだ息子にも確認したところ、間違いないとなりました。
平成最後ということで、ネット上で陛下の多様な情報が駆け回っているわけですが、それにしても、陛下と一緒に前理事長のテニス姿を拝見することになるとはですね・・・
ほんと、驚きました。
テニス仲間にもすぐにシェアしました。^^;


個人的にたくさんの思いの詰まった平成。
みなさんもきっとそうでしょう。
今夜、その平成から令和へと橋がかけられ、新しい時代が始まります。




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