2015年9月6日日曜日

デジタル世界で生活していない人たちの存在

今、ガリラボのゼミ生だとネットがない状態で、何か作業をやりなさいと
言われてもできない人がほとんどだと思います。
私などは完全にそうで、ネットに接続できない状態が予測されるときは、
事前に必要な情報をPCに仕込んでおき、接続できない期間でやれそうな量の
仕事を用意しておくようにしています。
(ちなみに、それでもPCは不可欠で、PCがなければ、仕事自体を
 諦めます。PCが今は完璧にペンと紙の代わりと化しております)。
そんな人ばかりなので、周囲が、そうするとつい、ネットを活用して作業を
進めるのが当たり前で、ネットは空気となって存在自体を自覚しなくなって
いました。
そんなとき、佐藤尚之さんの「明日のプランニング」を読み、目から鱗でした。
 
今や先進国は、2種類の人たちに色分けされているようです。
巨大になった情報環境を生きて、そこでSNSや検索エンジンを道具として
活用しながら必要な情報を集めている人たちと、従来と同じくマスメディアが
主な情報源となって生きいている人たちとにです。
最近の調査によれば、前者(ネット活用者)は急激に増加してきて現在は
5,000万人ぐらいほどいるとのこと。
これは韓国の人口と同じです。すごいですね。
私などもこの数に入っています。
この集団は、ひとつの国に相当するような人口ですから、つい、世の中はそう
いった人ばかりだと無意識に感じていたように思います。
ところが、、、、日本人の人口は1億2千万人ほどいるわけですから、引き算を
すれば明らかなように・・・
日本人の7,000万人ぐらいはネットとは無縁の世界を生きていることになる。
もっとも、ネットにはつながっているようですが、使っているのは電話、LINE、
ゲーム程度で、ネットショッピング、検索エンジン活用して色々な情報を集めていく
ような環境では生きていないと言えます。
そう言えば、きくりん人のメンバーが2年ぐらい前に、菊陽町で小学生のお母さん
世代にアンケートして情報入手のメディアとしてLINEが挙がっていたのを知って、
その時、「へー、先進的だな」と驚いたことを覚えていますが、よく考えるとこれは
知人内だけの情報交換を行っているだけであって、巨大で複雑な現代の情報環境に
立ち向かっているわけではなく、井戸端会議の拡張でしょうから、それでさっと浸透
していったのでしょう、LINEとかは。
さらに、こうした中で、初めて知った言葉が「マイルドヤンキー」という存在。
昨年生まれた言葉のようですが、個人的にはちょっと衝撃的でした。

マイルドヤンキーとは、
 マーケティングアナリスト・原田曜平(博報堂 ブランドデザイン 若者研究所)が、
 2014年1月に定義した概念
であり、
 「上京志向がなく、地元で強固な人間関係と生活基盤を構築し、地元から出たがら
  ない若者たち」のこと。この層は、地縁を大切にする保守的な意識を持っており、
 「新保守層」と呼ぶこともできる
といった人たちであるとのこと(参照)。
(地方創生の時代、地域に留まる人たちを増やそうという政策が実行に移されて
 いますが、こういった層をイメージしているのでしょうか?)
ちなみに、マイルドヤンキーといった人には、ネット世界を生きて、テレビCMを
ほんんど見なくなった5,000万人の層とは対照的に、今でもテレビCMの影響力が
非常に強いのだそうです。

かなり昔、1億総中流と言われていた時代、人々が均質化していた時代に比べると
世の中は均質化から離れ、まだら模様になっていると言って良さそうです。
上でも書いたように、大学にいると、つい、ネットやデジタルが完全インフラ化して
いてデジタルを駆使することに目が向きがちですが、7,000万人というイギリスや
フランスの総人口よりも多い人たちは、それとは無関係な生き方をしているというのは
ちょっとしたカルチャーショックでした。

確かに、私の実家にいけば、未だに電波環境は悪く、誰もPCなども使ってもおらず、
デジタル世界とは全く無縁な世界を生きている人がほとんどです。
毎回、帰省すれば、そうした事実を見ていたのに関わらず、差異にほとんど自覚的で
なかった。
自分の生きる世界(情報環境)にどっぷりと捕まっていたため、見えていたはずなのに、
その事実が見えていなかった。
自己を相対化するというのは難しいものです。

さて、韓国の人口に匹敵する人々がネットを活用しているわけで、そうした人たち
向けにネットやデジタルを視野に入れておくのはもちろんですが、韓国の人口を超え
る、イギリスやフランスの人口をも超える人々がサイバー世界とは無関係であること
に無自覚であってはならないでしょう。
特に地方ではその傾向が強いわけで、そうした世界を考慮に入れて情報のあり方を
考えていくことが必要だなと思います。
反省。

ガリラボでこれからやっていくことは、デジタルやネット一辺倒でもなく、またアナ
ログやマスメディア一辺倒でもなく、それらよりも上位レベルに上がって、ニュート
ラルな態度で考えていきたいと思います。
 
 
<おまけ>
ネット上で知った(たぶんブームになっている)ムービーを紹介します。

私が昔住んでいた近くの町の移住促進PR用のムービーです。
2015年8月27日に公開され、わずか10日ぐらいで再生回数が、100万回を超えて
いるんです! 驚異的。
その秘密はその奇抜なアイデアにあります。
  或るフランス人男性の視点を通して描きだされる、その素晴らしくも
  ちょっぴり不思議な­小林市の風景。
というフレーズに紹介されているムービーから流れてくる音声からは、すでに
忘れかけている非常に懐かしい響きが・・・・驚きました。
実際のムービーをどうぞ、じっくりとご覧ください。
  
 
さらに、小林市が行っている「てなんど小林プロジェクト」というサイトがすごい!
このサイトにあるポスター(西諸弁ポスター)の存在は知っていたのですが、いい
ポスターです。


これは、どういった人たちが仕掛けているのでしょうか?
実家に帰省する時、いつも素通りする町ですが、星がきれいな(要するに、田舎の
代名詞ですが)町ですが、斬新な取り組みに心底驚きました。
人口減少、高齢化が深刻な問題となっている町の並々ならぬ決意を感じます。

玉名での活動でも、こんな高度なレベルの斬新なアイデアで協力していければいいですね。
ガリラボゼミ生の頭脳に期待しております。^^
 

 

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