2023年9月22日金曜日

細川さんが語る学びの場

熊日新聞には月1で細川護熙さんのエッセーが掲載されています。新聞はさっと眺めることが多い中、なぜかこのエッセーはきちんと読んでいます。

今回のタイトルは「愛する人からのみ学ぶ」というもので、ゲーテの言葉とのことです。細川さんのお父さんは、西田幾多郎に学んでいたとのことで驚きました。しかも西田の自宅で学んでいたそうで、この時代は自宅に色々な人が集まって議論することが多かったのでしょう。

こうした学びの場について、細川さんの次の言葉が印象的でした。

世界一と言われるオックスフォード大学では、いまも伝統的にマンツーマンの教育が行われているといいますが、膝つきあわせての濃密な師弟関係の中で、はじめて真の意味での上質な感化が行われるわけで、ゲーテが「ひとは愛する人からのみ学ぶことができる」といったのもそういうことでしょう。尊敬し、学ぶことを請うことを悦びとするところから、学習することの真の意欲が湧いてくるのだと思います。

今の時代、大人数教育も多く、さらにはオンライン教育も普及して、「膝つきあわせて」からは程遠くなっているように思います。しかし、それでも一定程度は「膝つきあわせた」学びを実践している人たちも中にはいるのかもしれません。私は大学時代の研究室は同期が2人、そして大学の2期生ということもあったのでしょうが、指導教授には随分とかわいがってもらい、実験を終えてからよく食事に連れて行ってもらってました。
大学に赴任する前は、日立製作所の部長をされていて、当時世界最高性能の分析装置の開発などを手掛けられた方でした。大学内での研究の打ち合わせよりも、食事の場でお聞きした開発の苦労や製品を国外に営業していく話などはこの歳になってもよく覚えています。研究をやっていた時期、そしてもうすぐ社会人になろうとしている時期にざっくばらんに聞かせてもらった話に、ずいぶんと影響を受けたように思います。

細川さんのエッセーを読んで、度々連れて行ったもらい指導教授と膝をつきあわせていただいた食事の場を思い出し、あーあれは私にとって大学時代の貴重な学びの場だったなと思いました。

コロナ禍は膝つきあわせてという状態を難しくしました。そんな状況の中、ゼミ生にとって、どういった場が真の学びの場になっている(いた)でしょうか。

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今夜は、高専の教員時代に担任し、今は高専の教員となっている教え子との飲み会です。30年以上前のこと。あの頃は、このやんちゃな連中とほぼずっと膝を突き合わせていたような記憶があります。