学部生は卒業、院生は修了おめでとうございます。
18学部生は2年半、20院生は2年間、この津曲研究室、ガリラボで過ごし、めでたく本日巣立つことになりました。
学部生、院生共にこの大学生活は新型コロナウイルスという見えない敵に翻弄された日々でした。現在生きている世代では誰も経験しなかったコロナ禍での学生を演じることを強いられる苦しい日々だったと思います。
私は、ガリラボ通信で、機会をみて、ダーウィンの適者生存仮説、不思議の国のアリスに登場する「赤の女王の仮説」について紹介することがあります。
ダーウィンはこう言ってます。「生き残るのは、最強の種でもなければ、もっとも知的な種でもない。変化にもっとも適応する種が生き残る。」と。そして、ルイス・キャロルは不思議の国のアリスの中で赤の女王に「同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなければならない」と語らせています。
コロナ禍に限らず、周囲の環境は必ず変化します。それは時間が過去から未来に向かって一方向に流れているからです。時間が流れているから世の中は必ず変化します。安定した世の中などあり得ません。そうした変化している世の中において、何もしない自分が安定することはありません。安定のためには、ダーウィンや赤の女王が話すように、外部の変化に適応するよう自らが変化していかないといけません。
変化に立ち向かう最強の武器は学ぶことです。学びを忘れたとき、時間の流れという激流に翻弄され、多くの人が望んでいるはずの安定から遠く離れていってしまうでしょう。
人類史上、100年レベルの経験をしてきた皆さんです。この未曽有の変化にどうやって適応してきたのか、社会人になる前に、またアクストさんであれば、今後、管理職となる前に、振り返っておくと良いでしょう。学生の時は、大学という装置が緩衝材になって暴力的な外部変化は吸収してくれています。しかし社会人になるとそうした緩衝材はありません。一般の教諭から管理職になるときもそうでしょう。周囲の変化と直接対峙していくことになります。
その時、理不尽さを感じることも多いものです。社会とは理不尽で満ち溢れているものです。人にはそれぞれの主張(正義)があるからです。そうした理不尽さをただ嘆き、ただ拒否しているだけでは先に進めません。理不尽さを受け入れ、それに対抗していくことが必要です。それには問題を少し大きな枠組みに捉え直していくような大胆な思考が必要になっていきます。
ガリラボでは、変化そして枠組みの修正といったトレーニングをやってきました。やってきたつもりです。13ゼミ生が卒業生にアンケートを取ったことがあります。社会人になって役に立ったと思うガリラボの活動は何だったですかというアンケートです。多くが「卒論」を挙げていました。特にチームで成果を出す形でやってきた卒論です。卒論での活動で仲間と意見がぶつかり、変化や理不尽さへの対応を学んだのではないかと思います。
4月からみなさんが社会で活躍していくための基礎的な道具はガリラボの中においてありました。そうした道具をきちんと自分の仕事バッグの中に入れていってください。そうした道具を使えば困難があっても、乗り越えていけるものと信じています。
ガリラボ18ゼミ生、そして20院生の未来が輝かしいものになることを祈念して、本日の私からの祝辞としたいと思います。