2022年10月6日木曜日

「タイパ」思想と「時間を無駄にするな」思想

タイパ
初めて出合う言葉でした。
コスパと類似するもので、タイパとは、「タイムパフォーマンス」の略語とのこと。
時間を効率よく使うことを意味する言葉のようですが、この「効率」が少し前の感覚を持つ私には慣れないものでした。
近代になって生まれてきた思想で、近代人に叩き込まれてきた「時間を無駄にするな」というのとはまた少し違っているものなのです。
熊日の日曜日の次のコラムをじっくり読むと、「時間を無駄にするな」と言われ続けてきた我々世代との異なる感覚を生きているようになっているようです。


このコラムで指摘されているように、最近はショートムービー全盛です。
私も、最近よく隙間時間に動画を作っていますが、無意識に1,2分の短いクリップの形で作っています。
世の流れに影響を受けているようです。
現代は、以前わき役だったコマーシャルが、主役の座になっている時代のようです。

なお、先週の土曜日に投稿したガリラボ通信で、通信へのアクセスが減った理由の一つとしてこのショートムービーの影響を書きました(ガリラボ通信2022/10/1


少し過去を振り返ると、「時間を無駄にするな」という思想が人々に蔓延するようになると、それに批判するものとして例えばミヒャエル・エンデの児童小説「モモ」が出てきて、また「無駄にするな」思想の延長としての大量生産という工業社会による人々の没個性化を風刺したチャップリンの映画「モダン・タイムス」などが誕生しました。
いつの時代にも新たな思想は、それまでの思想にいる人からは違和感を覚え、批判の対象になりやすい。
しかし、批判を受けながら葛藤の中で生き抜いていく新しい思想は、社会に新たな安定したパラダイムとして定着していくのだと思います。
ずっと過去の歴史を振り返ると活版印刷が誕生した後の動きをみると目を見張るものがあります。印刷技術の誕生後、本を読む世代が生まれていくことになるはずですが、本を読む世代が生まれてきて、それ以前の読まない世代は何らかの批判を向けていのは想像に難くありません。
ただ、そうした世代は読み書きが得意でなかったでしょうから、どういった批判をしていたのかは記録として残っていないでしょうけど。