2021年3月5日金曜日

人材開発で必要な2つの大事な能力

 最近読むことが少なかった立教大学の中原先生のブログを久しぶりに拝見しました。
ツイッターに誘導されて読んだのですが(最近はこのパターンが多くなりました)、人材開発の仕事に向いていない人とはどんなタイプの方かという話題です。
企業内での人材開発担当の方の話でしょうが、かなりの部分で学校教育に携わる人にも通じる話だと思いました。

ひとつは、「言語に関する感受性の低い方」は向いていないとのこと。
無意識に、相手がやる気を失ってしまうような言葉を投げかけてしまうような方は人材開発には不向きだとのことで、読みながら、確かにそうだろうなと思いました(自分ことは横においておきますが)。
詳細は、http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12696 を参照してください。
企業での人材開発に関わらず、学校教育の現場、さらには親とかにも大事な話です(さらに自分ことは脇においておきます)。

そして、この話には続きがあり、もうひとつ大事な能力があって、それは、「他者視点」だということでした。これも詳細は、http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12699 を読んでもらえばよいかと思います。

他者視点とは、「他人の立場にたって、物事を見る能力」のことですが、中原さんが鬼の子どもを引用し、その点を説明されていました。

鬼の子どもの視点からみると、桃太郎は「やつ」という表現するぐらい憎い相手となります。他者視点を持つと、自分のことを別の見方が出来るようになり、こうした態度を「相対化する」と表現することがあります。相対化するというのはすごく大事なことです。ゼミ生には身につけてほしい能力の一つです。
(西欧文明を相対化してみせたレビィ・ストロースの仕事などは見事なものでした。実は私の授業「情報社会とコンピュータ」は、受講生の価値観を相対化させることを意図的に組み込んでおり、情報社会の授業という姿を借りて、複眼視点を持つことの意義を伝えています。最後の感想の中で数名ほどその点を鋭く指摘している学生がいて、驚かされます)




中原さんのブログを読みながら、私の頭にはある方の文章が浮かんでいました。中原さんのいう人材開発者に必要な2つの能力についての具体な事例と言えるような文章です。
 
ベルギーで知り合い、全国に、そして国外にも散らばっている30代から60代まで多様な先生方とのプロジェクトをM1(20)アクストが立ち上げています。
私もそれに参加させてもらっています。
みなさん、参加の義務など何もないのですが、自発的に参加され、仕事を終えてから、越境学習を自ら進んで行われていて、ほんと驚きます。
そのプロジェクトのZOOM会議が先日あり(夜の9時から始まり、11時ぐらいまで議論が続きます)、議論の結果、全員がある宿題をやることが決まりました。
みなさんから提出された宿題はプロジェクトメンバーは誰でも閲覧できるのですが、それを読んで感激しました。
生徒の視点(つまり他者視点)に(おそらく無意識でしょうが)たって、その上で引き込まれるような言葉が続いている文章です。
中原さんのいう2つの能力がそこに具体例としてあるように思いました。
こんな先生に義務教育時代に出会っていると、その後がずいぶんと違っていくのではないかとも思いました。

ただ、誰と出会うかは、偶然の力も強く影響していそうです。
コロナ禍によりオンラインを誰がも普通に使うようになりました。コロナ禍は大変ですけど、しかしオンラインを急速な定着させていき、そのおかげで従来であればまず会うことはなかった方と会う機会を得ることができました。
去年の今頃だと想像もできないことでした。

新しい出会いは、新しい刺激や学びをもたらしてくれます。アクストのプロジェクトの期間中、新たな学びによって、ポンコツ脳に刺激を与えていきたいと思います。^^










ところで、今日はM1(20)アクストとのゼミの予定でしたが、風邪を引いたそうで、来週月曜日に延期しました。アクストとのゼミはお休みとなりましたが、M2(19)福嶋とゼミ(というよりも打合せ)を行いました。修士論文の内容をきちんとしたジャーナルに投稿する予定で、その打合せです。3月末までにジャーナル投稿用の論文を仕上げることなりました。修論が終わっても、福嶋の研究活動は続ております。
「学びを止めない」はコロナ禍で流行した言葉ですが、これは厳密は「教授活動は止めない」ということでした。本来、「学び」とは止めようにも「止まらない」もののはずです。

2年生は事前に目標を立てているのでその学びを進行させていると思いますが、卒論を出し終えた4年生、課題が全て終わった3年生は、今、どんな「学び」を進行させているのでしょうか。