2022年1月14日金曜日

読書のススメ

明日から大学共通テスト。
このため本日は授業はなく、学内への立入りも禁止のため非常に静かにガリラボで仕事をしております。

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1995年「大衆教育社会のゆくえ」という新書が出版され、それを読み、強い衝撃を受けたことをよく記憶しています。格差が家庭という条件に強く影響を受けることを実証的に示す内容でした。
その後色々と読む中で、社会学の中でそうした問題意識はそれ以前から随分と昔からあったようで、それをデータできちんと示したがこの新書の見事な所だったと思います。社会調査というはほんとに大変なので。
著者は苅谷剛彦という方です。ファンになり、この方の著書はほぼすべて読むようになりました。
1年後(1996年)、この方が「知的複眼思考法」なる本を出され、これもすぐに読んだのですが、ぐさぐさと突き刺さるような内容でした。
2002年に文庫本化され、講談社+α文庫の1冊となりました。最近、この文庫の方を購入しました。「読み継がれて四半世紀」とあります。

奥付を見てびっくり。なんとまあ「50刷」に達しています。ものすごい方々に読まれているんですね。その多くの読者は大学生でしょう(そう信じてます)。
四半世紀も継続しているわけで、古典的名著と言えそうです。生き残ってきた本とは時代を越えた優れた視点を持っているのでしょうから、読むべきリストに入れてよいかもしれませんね。


ついでながら、今週の週刊新潮に「経済力の学力格差を乗り越える方策は読書」という記事が出ていました。学力格差が家庭の経済力に影響していることはしばらく前から知られていることでした(それこそ上の「大衆教育社会のゆくえ」はそのことを明らかにするものでした)。

経済力豊かな人は本を読む習慣を持つ人が多い。そんな中で過ごした子どもたちは本を読むのが普通であり、自然に読書するようになる。その結果、その子どもたちの読解力は向上し、その後の学力格差につながっていくという理屈です(非常におおざっぱですが)。
週刊新潮の記事は、その流れには読書で対抗しましょうといった話です。
AIの研究を通して子どもたちの読解力の課題について新井紀子さんが警鐘を鳴らされ、読書の大切さを語られています。
これらの皆さんと私も同じ意見です。
動画が普通になった現代。その中であえて本という旧来のメディアと向き合うことはかなり大事ではないかと思います。
優れた動画を作りたければ、優れた読書をした方がいい。
回り道のように感じるかもしれませんが、優れた動画を作りたいのであれば、読書は近道を提供してくれるものと思います。

追伸
先日、津曲ゼミ広報部からの依頼で「私の好きな本」というコラムを寄稿しました。2月末に発行されるはずです。何が好きなのだろうと考えた結果辿り着いた答えは・・・。2月末発行の広報紙第11号をどうぞご覧ください。