2018年10月14日日曜日

感性を磨く、物語を作る力を養う

昨日の日経新聞に「製造業はなくなる」というタイトルで
日立製作所の東原社長さんのインタビュー記事が出ていました。

デジタル化とグローバル化で製造業は劇的な変化を余儀なくされることを
断言されていて、その中で、最近何かと話題のAIについてこんなことを
話されていました。

  ―AIが人の仕事の場を奪うという見方があります。
  「AIが人間を超える『シンギュラリティ』は起こらないはずだ。すでに
  計算、検索能力ではコンピューターが人をはるかにしのぐ。社会のニーズを
  くみ取る共感力、問題解決のために何が必要かを探る提案力はAIには担え
  ない。人間のために、何をつくり上げるのかを決めるのは人間だ」「人間は
  これまで以上に感性が求められる。人の幸せとは何か。その実現にどのよう
  な価値を創造すべきか。
  歴史や文化、芸術などを幅広く学び、感性を磨くことが何よりも大事になる。
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3646498013102018EA1000/

まったくその通りだと思いました。10月18日に玉名高校の1・2年生に向けて
出前授業をする予定なのですが、最後のまとめの内容がこの東原社長さんものと
ほぼ同じものになってました(だから、この記事が目についたのでしょうけど)。

指揮棒キャンペーンとかをやっていると、人には(以前から散々言われていること
ですが)物語を作り出す能力とかそういったものが不可欠だとつくづく感じます。
物語を生み出すことなく、前に進むのは難しい。
高校までであれば基本知識の修得という大目的があり、それためにいわゆる「勉強」
は欠かせませんが、高等教育の段階になるとそれだけではまずいですね。

感性に依存しない部分はコンピュータにやってもらい(重い荷物は自動車に運ばせ
ればよいのと同じです)、感性に強く依存する部分が人間が本来に担うべきところな
わけです。
荷物を運ぶ必要がなくなった分、人間にはそれ以外のところが要求されるのは当然
です。で、そうなった時の教育とは・・・。大学教員なので、特に高等教育ではどう
いったことが必要になるのかと大変気になるところです。


朝、玉名の方から「山鹿市の会合で、先生のゼミを褒めておられる方がいっらっしゃ
いました」と教えてもらいました。
どういった会合なのか見当もつかないので、どういった方から褒めていただいのかも
皆目見当もつきませんが、地域の方にゼミ生の活動を評価してもらい有難い限りです。
何かの役に立つというのは存在を許可されたようで嬉しいものです。

そうしたガリラボの活動とは、AIに対抗するための「感性を磨く」というトレーニン
グにはなっているのではないかと思うのです(間違っているかもしれませんけど)。
これからも地域の皆さんの助けをいただきながら、地域の中で、自分たちの人間として
の魅力を磨いていくことをやっていけるといいですね。
昨日の熊日の山口記者もそうした実践を地域の中でされて来られたようでした。
そうやって魅力を磨いてこられたのに違いありません。
勉強はできた方がよい。それは間違いありません。しかし、それ以上に、人間的に魅力
的であった方が、人生を生き生きと過ごせるのではないかと思います。
これからの情報社会、今まで以上にコンピュータがインフラとなっていく時、そのことは
さらに重要になっていくでしょう。
頭では誰でも分かっているでしょうが、身体のレベルではそのことに気づいていない
ゼミ生もいるのではないかと思い、書いておきました。
自分の行動を見つめ直すきっかけにでもしてもらうといいかなと思います。

私がよく参考している伊藤忠商事会長だった丹羽さんの言葉を紹介しておきます。
 人というものは、仕事で磨かれ、読書で磨かれ、他人と交わることでこそ、
 心が鍛錬される。




 

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