情報洪水の中でどうしたら情報を人々に届けることができるかという、ファンベース理論の解説でした。
人は、自分が好んでいるものについて、どうしてそれが好きなのか、言葉にして説明することはなかなかできないものです。
無意識下で起きていることを意識化する作業はトレーニングしてないとなかなか難しく、そうした作業の得意な人たちが詩人とか作家とか呼ばれる人たちであろうと思います。
なので、あるものを支持しているファンの人たちがどうしてそれを好むのか調べる一つの方法として、ファンに集まってもらいファン同士で話し合う「ファンミーティング」を佐藤氏は推奨されています。
ファン同士で話をしてもらい、特に話が盛り上がっていくと(ミーティング主催者はその盛り上がりを作ることが仕事)、会話を通してたくさんの言語がその場に飛び交っているはずで、その言葉を丁寧に拾っていくことが、ファンの好みを把握していく方法として有効だと主張されています。
私もそう思います。
この話をここで書いたのは、4年生の卒論で、なぜ人がそうしているのか自分ではよくわかっていないことを言葉にして取り出す作業を必要なゼミ生がいて、この記事を読みながら、その参考になるなのは「こうした方法だよな」と思ってのことです。
自分なりにアレンジして、潜在下の情報抽出に挑んでほしい。
ところで、佐藤さんは、ファンの「ここが好き」とか「こんなふうに好き」というのを「情緒価値」と呼ばれています。
一方、商品には「何かができる」という機能があり、そうした「機能価値」よりもファンにとっては情緒価値の方が重要です(もちろんそうでない場合もあります)。
例えが適切かどうかわかりませんが、美術館で刀剣の展示があるとそのツイッター情報は広く拡散されていきます。
恐らくこれは刀剣の持つ機能価値(=切れる)で拡散していくのではないでしょう。
恐らくこれは刀剣の持つ機能価値(=切れる)で拡散していくのではないでしょう。
商品の情緒価値を伝える方法は、商品開発の苦労話といった「物語(ストーリー)」を伝えるのが効果的だと佐藤氏は言われます。
これもまったくそうで、人に物事を伝えるのに効果的には「物語」であることは間違いありません。
兄弟子から弟弟子への技量の伝達に重要な枠割を担っているのが物語だというのは学習論の分野で言われていることです。
物語の大事さの一例として昔、読んだ本の中にあった金沢工業大学の特別講義の例を紹介したいと思います。
著名な講師を呼び、特別講義をしてもなかなか学生たちにはその声が届かないという現実があります。
送り手と受け手の立ち位置が違いすぎるとは情報伝達はかなりの困難を極めます。
モノだと高いところから低いところに落下していきますが、情報はそういう性質はもっていません。
それで金沢工業大学では、講師が特別講義に入る前に、例えば情熱大陸の番組のようなものを作ってその講師の人となり、これまで歩んできた経緯を物語として流す、その後に登場してもらうように工夫したそうです。
結果は、予想通りだったようです。
優れた物語を作るというのは何かを伝えるためには非常に優れた方法と言えます。
後半の「伝える方法」については、情報発信を行う別のゼミ生グループにとって大事な話であろうと思い、紹介しました。
それぞれ参考にしてほしいと思います。
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