2011年6月18日土曜日

最近接発達領域

何やら難しいタイトルをつけてしまいました。
発達の最近接領域とも言います。
ヴィコツキーなる心理学者が提唱した概念です。
 
ガリラボでは、院OB(07)の山部さんのときに、研究の基礎として
ユーリア・エンゲストロームの「拡張による学習」を取り上げ、ゼミ
の時間にこの難解な理論に二人で挑みました。

最近接発達領域というのは拡張による学習を学ぶ過程で知った
概念です。
人は、仲間でやる、あるいは少しスキルの高い人からちょっと
した手助けをもらうといったことで、一人の時には有りえなかっ
た自分の成長していく可能性の領域(最近接発達領域)を広げる、
とそういうふうにヴィコツキーは考えました。

この領域とは潜在的なものですが、しかし極端に言えば無限の可能
性の空間を開き、それまで自分では見えなかった世界に導いてくれ
るものです。

ヴィコツキーの考えが正しいことは私と山部の挑戦の中ではっきりと
実感しました。

難解であることはさっと目を通しただけで十分に分かりましたので、果たして
「拡張による学習」を題材として取り上げて良いものか悩みました。
が、そこは
   見る前に跳ぶ or  泣くよかひっとべ
です。

ゴールはほぼ何も見えないまま、エイヤで決断しました。

案の定でした。
最終的には消化不良で終わってしまいました。
難しすぎた。(T_T)
 
しかしですね、それでもこの挑戦の過程で得たことは大きかった。
ガリラボの方向をかなり変えていく様々なアイデア(新しい可能性の空間)を
生み出すことにつながりました。
さらには、副産物として、院生との共著論文という初めて試みを実践する
ことができました。

つまり、この挑戦があって、ガリラボの最近接発達領域が創造され、そこで
生まれた新しい世界のおかげで今現在に至っているように思います。
 
どうしてこんなことを書いたのかというと・・・
3年生にNHK映像コンテストの参加者を募っています。
先ほどその結果についてゼミ長から連絡をもらいました。
わずか2人が参加表明したとのこと。

「見る前に跳ぶ」の意味を知っている人はたくさんいると思いますが、しかし
その意味が「わかる」ことと、それを「実践する」ことには大きなギャップがあ
ります。
そのことを証明しているように思います、この事実は。
 
考えてみると、今年だけではなく、自発的に参加表明すゼミ生は毎年この程度
かもしれません。

ただ、ちょっとクスリが利きすぎたかもしれないなぁとちょっと反省を・・・
夏休みがほとんどつぶれる可能性があるとの私が何度か話をしましたので。

そんなことを聞けば、躊躇するでしょうねぇ、やっぱり。
純朴なガリラボのゼミ生たちだからなお更ですね。
十分に理解できます。
しかし、ですね。
そこをあえて乗り越えてほしいですよね、私としては。
スーパーカブで、羽田から桂浜まで行こうという、あのバカバカしいほどにすごい
勇気と行動力を真似してですね。

だいたいが、つぶさない夏休みって何なのでしょうか?
そんな保守的な夏休みって、恐ろしく退屈な時間ではないかと思いますが、

  どうでしょう?

あり余る自由な時間をつぶし、懸命に挑戦しようと人たちには「手助け」を
たくさんするんですけどねぇ。
豊かな最近接発達領域が生まれるようにですね。
 
そんな挑戦を通して自らを自律と自立につなげていく。
これこそ、社会人となっていくための訓練だと思います。



「水曜どうでしょう」がガリラボでは最近話題になりますが、あそこまでの単純
な行動を愚直なまでに徹底しているからあれを見てワクワクするのだと思います。
たった10kmぐらいの走行だったら、面白さを感じることは絶対にありえない、と
思います。

こんな夏が一度ぐらいあっても良いのではないかでしょうか。
学生時代じゃないと難しいですよ。
  
  

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