2015年3月17日火曜日

経験学習を実践する漁師さん

インフルで休んでおりますが、大学から届くたくさんのメールの
処理でほとんど費やされ、昼間はかなり慌ただしい1日です。
ただし、夜は早い時間に自宅に居るので、余裕があり、撮りためていて
見ていなかった番組をいくつか見ていました。
そのうちのひとつが、昨年11月に放送されたカツオ漁師・明神さんを
取り上げた仕事の流儀でした(番組内容はこちら)。
いや、いい内容でした。目が釘付けになりました。


カツオ漁船のリーダーとなった駆け出しの頃は、当然ながら経験も浅く、
うまい具合にいきません。そんな時代、明神さんは、
 自分だけのやり方を突き詰めようと決め、睡眠時間を削り、潮の流れや
 海水温など誰にも負けないだけの情報を集め、徹底的に分析した
のだそうです。

そうして、
 多くの船が集うところを避け、誰も目を向けない海域を開拓し続けた
とのこと。ほぼ科学者です。周囲から天才と呼ばれているそうですが、ほんとに
そうだと思いました。
漁がうまくいった日も、自室にひとりこもり、データに向かっている明神さんが
いました(うまくいった日であることに注意!、ダメだった日だけでないようです)。
何となくイメージしている漁師さんとはまるで違います。

自室では、
 その日の漁を事細かに振り返り、なぜ、カツオがあの海域に現れたのか、
 データを洗い出し、納得するまで分析している
のだそうです。それは、
 よくわからないから、どうなっているのだろうかという
 強い好奇心でそういう分析をやっている
のだということでした。
ほんと、科学者ですね、この時点では。
しかし、明神さんが単なる科学者と違う点は、そのデータを具体的に利用する
現場の実践者であるという点です。



水揚げ日本一を記録するこの天才と呼ばれるリーダーを育てたのは、
明神さんの行動を見ている限り、経験学習ではないかと思いました。
明神さんの行動は理想的な経験学習のように見えます。
経験し、それを振り返り、概念化して、次の新しい試みにつなげていく。
誰も目を向けない新しい海域の開拓に挑んでいるところが、新しい試みへの
挑戦であろうと思います。
経験学習については、通信でもかなり前に取り上げてます。
ガリラボ通信2012/9/17に詳しく書いていますので、これから社会に巣立とする
11ゼミ生には是非とも一読を薦めます。

ただ、経験学習のサイクルを回すのは一般には難しいのです。
明神さんはなぜそれが出来たのか!? 
その理由を最後に次のように話されていました。


ただし、明神さんも最初から好きであったとは思えません。
ある時にそれが好きでたまないという状況に変わったものと推測しています。
そうなったらハッピーですね。
そういう変化がどうしたら起きるのか、その解明も興味深い研究課題のように
思います。
仕事の心理学の分野でそういったことは解明されているのでしょうか?
 
 
社会人になっても学びのない人に成長はないだろうと思います。
 

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