2017年10月9日月曜日

人間は生きていれば問題だらけ

先日、パラパラと眺め始めた丹羽宇一郎著「死ぬほど読書」という本。
隙間の時間にパラパラと流し読みしつつ、(とりあえず)読了。

私個人には興味深いところが多々ありました。その中で、この場でも
紹介しておくのが適当だろうと思った「問題」という話について紹介
しておきたいと思います。
「問題がなくなるのは死ぬとき」という小見出しの文章の冒頭、
 
  何か問題が起きると、その問題を必要以上に大きく捉える人がいます。
  問題はあってはならないもの、という気持ちが強すぎるのです。

から始まり、次のように語られていました。

  人間は生きていれば問題だらけです。・・・。懸命に生きることが、
  懸命に問題を生み出し続けるようです。

なるほどと思いました。「懸命に生きている」そのことが「問題が生まれる源泉」と
いうことですが確かにその通りだろうと思いました。問題から逃げ、回避していく
ことは生きることにしっかりと向き合っていないということでしょう。丹羽さんは、
さらにこの後を

  問題があるということは、懸命に生きている証しです。
  困難な問題に直面したときに必要なのは、その状況を冷静に見つめながら、
  前向きに考える謙虚さです。過信や自己否定がそこにあってはいけない

と続けられています。下線は私が引いたものです。
熱狂に支配されない。熱狂しそうになる自分をコントロールし、謙虚に真摯に問題へと
向き合う。
私自身、非常に大事なことだと思います(難しくてなかなか出来ませんが)。
そして、さらに丹羽さんはこう続けられます。

  どんな苦しい状況に陥っても、それは天が自分に課した試練だと私は
  思っています。
  そこから逃げることなく正面から受け止めてベストを尽くせば、必ず
  知恵と力が湧いてきます。思わぬ閃きも生まれる。そうして不可能と思っ
  ていたものに、光が見えてくる。その源泉となるのが、読書と経験です。

先が見えないだけに苦しい状況になるでしょうが、安全基地を持っているのであれば、
逃げることなくそこで頑張っていくべきでしょう。
前向きに必死で取り組んで突破口を見出していく経験が、次のより大きな問題の解決に
向かう自分を作りだしていくものなのです。
 
丹羽さんは伊藤忠商事の社長を務められたわけですが、その後に同じく伊藤忠商事の
社長となった岡藤さんがこんなことをおっしゃっています(いつ言われたのは不明です)。

  「青年よ、大志を抱け」と、大きな気持ちを持って会社に入るが、
  入ったらそういうものは捨て、与えられた仕事をコツコツやることが
  大事です。その道のプロになることを目指す。
  そうすれば当初抱いていた大志を実現できます。

言葉こそ違いますが、語られている内容はお二人ともに似ています。
同じ会社の人だから考えも似てくる面もあるのでしょうが、お二人ともに仕事で
困難な問題を解決してきて、社長になられているのだと思います。問題の解決の
部分は誰がやっても似ているのではないでしょうか。

いっぺんに何かが片付くような、そんな王道はないのだということです。
苦境に立つと、王道を求めてしまう(魔術的解法に期待する)ことが往々にして
あります。
そんなものはないのだから、問題を正面から受け止め、ひたすらコツコツと
問題の解決に向き合う勇気と気力・体力、そして多様な知識を身につけておく
必要があるだろうと思います。
これからが本当に問題と向き合っていくことになるゼミ生たちは、特に。




 

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