2017年1月13日金曜日

仕事が楽しいなどあり得ない

タイトルに使った言葉は、ローカル番組「水曜どうでしょう」を一躍国内メジャーに
した手腕で、有名になったディレクター藤村さんの言葉です。

今日の朝日デジタルに「水曜どうでしょう」の新作の撮影が始まることが紹介
されていました(こちら)。

「水曜どうでしょう」は、かつてガリラボにはファンが多く、この番組の話題で
夜な夜な盛り上がっていたことを思い出します(最近は、ほんとに私がガリラボに
いることが少なくなったので、こうしたしょうもない話題をすることがめっきりと
減ってしまいました。非常に、非常に残念です)。
参考:ガリラボ通信2015/7/11 ガリラボ通信2012/2/17


さて、本日のエントリーのタイトルに使わせてもらったのは、朝日新聞記事にあった
藤村ディレクターの言葉です。
私自身がいつも考えていること、思っていることがほぼそのまま書かれていて、
「そうだ、そうだ」と肯きながら読みました。
私だけでなく、仕事している人たちの多くが、賛同されるのではないかと思います。

大泉さんの言葉も記事内で引用されています。大泉さんも、
  どうでしょうのロケに楽しいロケなんてないんだ。出来上がったVTRが
  面白おかしいだけで、我々は誰も楽しいなんて思ったことはないよ。
であったそうです。番組を見ていると楽しそうにやっているように見えますが、実情は
まったく違っているということですね。
自分たちが単に面白がってやったものを、他人がそれを面白いと思う可能性は低い。
どこかで読んだor聞いた、かなり記憶の怪しい話ですが、芸人の師匠が弟子か
後輩かに
  芸人っていう仕事は、自分は泣きながら人を笑わせるんだよ。
と言ったそうです。これもほんとに良く分かります。

白亜祭のガリラボのブースはお客さんに大変楽しんでもらいましたが、その過程で
ゼミ生が思っていたことは、大泉さんの言葉とほぼ同じものではなかったかと思います。

面白いものを作るには、自分たちは非常に大変。
大変なのですが、その大変さを真正面から受け止め、その中で創意工夫し解決していく
ことの中に楽しさを見出していくことが大事なのではないかと思います。
 
藤村さんはこの点をこう言っています:
  とても矛盾しているんだけど「仕事が楽しいなんてあり得ない」と僕は思っている、
  でもそれを「なんとか楽しくしよう」「なんとか楽しもう」とすれば、そこにこそ
  良い仕事が生まれるんだろうと。

ここの言葉をタイトルに使わせてもらいました。

記事には、日本ハムファイターズの栗山監督の話も引用されていました。仕事をできそうな
人は、栗山監督の言葉を借りると、大変である中でも「キラキラしている」ということでした。
栗山監督は、そうしたキラキラ選手を試合に使っていくのでしょうが、実はこれは私も同じ気
持ちです。
ゼミ生を私が見ている時もほぼ同じような感じだなと思いながら、記事を読みました。
ガリラボはオプションとして、余計なことをやることが多くあります。
授業レベルでは基本的に平等に皆に接し、平等にリソースは提供しますが、そうしたオプショ
ンの部分に対しては、状況はかなり異なります。
チャンスは平等にはやって来ない。
栗山監督が平等に選手を試合に使うことはないでしょう。
遊びでなく、苦しさを伴うようなときに、成果を出さないといけないようなときに、平等など
ありえない。キラキラしている人を探し、その人を使っていくでしょう。

こうした場面とは、実は、成長につながっていく大事な機会となることが多い。
だけど、そうしたチャンスは平等に与えられることはないのです。
成長しようとしている人にだけ、チャンスは与えられ、そうした人は成長の機会をもらう。
極めて不平等ですが、しかし、こうした不平等があることを自覚しておいたほうがいい。


藤村ディレクターの言葉に強く反応し、ダラダラと綴ってきてしまいました。
まあ、とりあえず新作の水曜どうでしょうに期待したいと思います。


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水曜どうでしょう新作撮影へ 藤村D「大泉さんやる気」
2017年1月12日14時30分 朝日デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASK167S7GK16IIPE02N.html
■藤村忠寿(HTB「水曜どうでしょう」チーフディレクター)
 今年は「水曜どうでしょう」の新作を撮影する予定です。2013年に放送されたアフリカ編以来ですから4年ぶりのことです。
 実は昨年も撮影する機運はあったんですが、それぞれスケジュールが合わずに先送りになっていました。昨年は大泉洋さん、大河ドラマ「真田丸」で大活躍でしたからね。そんな大泉さんから元旦早々にメールが届きました。「今年は水曜どうでしょうをやるということで気合が入ります!」と。どうやら、かなりやる気満々のようです。
 レギュラー放送をしていた当時は、ロケのたびに体調を崩し、ボヤいていた大泉さん。彼がロケの最中にこんなことを言ったことがあります。「どうでしょうのロケに楽しいロケなんてないんだ。出来上がったVTRが面白おかしいだけで、我々は誰も楽しいなんて思ったことはないよ」と。それは、本当にその通りなんです。誰もロケなんて楽しみにしていなかった。それよりも不安ばかりが先に立っていました。「このロケが面白くならなかったらどうしよう」って。でもそれは口に出さずに、気付かれないように、それぞれの胸の内にしまって、旅立つ日の朝を迎えていました。
 今思えば、僕が「水曜どうでしょう」のレギュラー放送をやめ、DVDの制作を始めたのも、そこにひとつの理由があったのかもしれません。6年間、不安を抱えて撮り続けてきたVTRはどれも面白いものばかり。それを編集し直してDVDにすることには、なんの不安もありません。「もう僕はあの、ロケに旅立つ朝の、緊張感に満ちた不安から解放されるんだ」と。
 僕らはあの頃、誰もロケを楽しみにしていなかったから、誰もが必死で「楽しもう」としていました。「面白くならなかったらどうしよう」というプレッシャーに押しつぶされないように、誰もが本気で「楽しい!」と思える瞬間を探し出していました。どんなに小さな出来事でも、それを面白おかしい出来事に変えようと必死だったと思います。
 仕事って、どうしたって遊びのように楽しくはないんです。遊びで野球をするのはとても楽しいけれど、プロの選手は常に不安と隣り合わせです。「打たれたらどうしよう」「打てなかったらどうしよう」と。でも試合に勝つためには、一流の選手になるためには、自分を無理やりにでも奮い立たせて「野球を楽しもう!」という気持ちになることが一番大事なんだと思います。ファイターズの栗山監督も言ってましたね。「その選手がキラキラしているかどうかを見てる」って。
 とても矛盾しているんだけど「仕事が楽しいなんてあり得ない」と僕は思っている、でもそれを「なんとか楽しくしよう」「なんとか楽しもう」とすれば、そこにこそ良い仕事が生まれるんだろうと。
 今年、それぞれに不安を抱きながらも、それでも必死に「楽しもう」とする4人が集まって「水曜どうでしょう」が始動します。






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