2020年10月25日日曜日

スペースジェット(旧MRJ)の事業化凍結のニュース

先日、三菱重工の国産ジェット「スペースジェット」事業化凍結のニュースが速報で流れました。
日々、様々なニュースが流れてくるわけですが、その中でも特にこのニュースは驚くとともに悲しさもこみ上げました。
 

開発当初は「MRJ」と呼ばれ、国産ジェットの開発は(少なくとも私には日本の技術力について)希望を感じるもので、MRJの姿にそうした思いを持った人も多かったのではないでしょうか。
2015年11月11日、ちょうど5年前の今頃、MRJは初飛行し、その様子はネットでライブ中継されました。
わくわくしながら見ていたことを昨日のことのように思い出します。
MRJの初飛行を見てガリラボ通信2015/11/11

映像でその姿を見て、美しい機体だと感じました。
洗練された技術は美しい機械美につながるのだと思っています。
そして、人は美を感じるとき、人が必死に工夫して洗練させた努力をその背後にみているのではないかとも思っています。
スポーツ選手を見ているときも同じなのかもしれません。

そして、一番思い出すのは、開発してきたエンジニアのみなさんが円陣を組んでいた姿がライブ中継で流れたときのことでした。なんか感動しました。

2015年は13ゼミ生が3年生の頃です。
円陣を組むスタイルは、13ゼミ生に浸透し(OG(13)松崎に特に)、それで、MRJ初飛行の約2週間後の興津会(ガリラボ通信2015/11/23)、そしてMRJ初飛行からちょうど1年となる白亜祭(ガリラボ通信2016/11/11)でと、ゼミ生の一致団結が必要な場では、このMRJ開発チームの意気込みを真似させてもらったのでした。

興津会2015
白亜祭2016

しかしそのMRJの開発は遅れ、再スタートを切るためだったのでしょうが途中で「スペースジェット」と改名され開発が継続されてきたわけです。
しかし、一昨日、事業化凍結という結末を迎え、呆然とさせられました。

ひとつの希望が消えたように感じたのは私だけでしょうか。
三菱重工という技術に関して国内トップメーカーが、世界の中では総合力の点で力及ばなかった事実は、日本の技術力の程度を内外に示すことになったように思います。
個別には優秀なところはあるとは思いますが、総合力ということになると、力不足ということのようです。
 
電子ブックリーダーが世の中に出始めたころ、kindleは、郵送されてきた箱から取り出した瞬間に書籍が買えるのに対し、日本製は色々な契約をやってからでないと使えず、日本製品の配慮不足のことを随分前に茂木健一郎さんがどこかに書かれていました。
技術面の問題ということではなく総合力の点で見劣りするということでした。
スペースジェットもそうした問題を孕んでいるのかもしれません。
ひょっとして日本のあちこちで抱えている課題であるかもしれません。

技術以外、サービスの面、さらに人々のライフスタイルの面まで、様々な要因を総合的に視野におさめてモノを生み出すしていく点が足りていない。
プロジェクトを率いるリーダーたちには、若いころから、複眼思考の徹底的トレーニングが必要なのかもしれません。

ただ、今の大学教育をみていると、学生に対して非常に親切です。親切は必ずしも良い教育になるとは限りません。今、必要なトレーニングと距離のある教育になってしまっているように感じもします。
これまでもそうだったのだと思いますが、これからはさらに教育機関の本気度が試されていきそうです。

<おまけ>
そういえば、ガリラボにはもう円陣の文化はなくってしましました。
1本締めの文化もなくなっています。
ちょっと寂しい。


0 件のコメント:

コメントを投稿