2013年12月18日水曜日

言語化はなかなか難しい

早朝から、ひとり黙々と、ガリラボの掃除と不要紙リサイクルのため、身の
回りの用紙の分別作業をひとしきりやり、9:00からM1(13)坂口とのゼミ
に臨みました。
 
今日の坂口とのゼミは12月26日に迫った上天草でのチェンジラボにおけ
る第1刺激及び第2刺激について具体的な内容の検討でした。
二人で、1時間ほど突っ込んで議論しました。
これまでの過程で、やっぱり現場にどっぷりと浸らないとチェンジラボという
アクション・リサーチは成功しないことを痛感しています。
もちろん、どっぷりと浸るだけでも駄目でしょう。
そこには研究者としての視点が不可欠です。それがないと、刺激の材料を発見
(言語化)できないからです。
現場を深く知る坂口が研究者の立場でいるから、必要なことを言語化できている
わけで、そのこと無しには現段階の状況に至るのは難しかった。
現場の人だけでは言語化は多分無理だし(実践の中にどっぷりと浸っているため)、
また大学の研究者が、論文作成目的でやる薄っぺらい研究ぐらいでは現場の内部に
深く、深く入り込む質的な調査は難しい。
現場の実践だけでは駄目だし、研究者の立ち位置での理性だけでもいけない。
双方がないことには、組織や地域に変化を促すような質的な刺激を発見して行く
のは非常に難しい。
最初は軽く考えていました。チェンジラボのことを。だけど、坂口とやり始めてから
相当な覚悟が要求されることを勉強させてもらっています。
今日は1時間ほどのゼミでした。

10:00からは4年(10)石原、田中と12月21日の福岡工大での発表会で話す
内容の打ち合せでした。
昨晩、二人のパワポをじっくりと読んでいて、疑問点がたくさん出てきました。
チーム繋があんなにやってきたことが、さらっと触れてあるだけで、どうもあの
頑張ってきた臨場感を適切に表現できていないのです。
自分たちの実践を言語化することに失敗しているのです。
「頑張りました〜」ぐらいで終わっている。
それでは他者には何も伝わりません。
それで、精読した直後にメールをだし、今日は朝から出てきてもらい打ち合せを
行いました。(すぐに出てきてくれるのです。ほんと素晴らしい。オプションの
発表なのに。ほんと感心しています)。
打ち合せは、隙間時間の30分だけ。
30分で私からの疑問点を示し、それから二人にパワポの修正を依頼しました。
明日、それを用いて発表練習をする予定です。
自分たちのことを余すことなく言語化できているといいのですが。
  
10:30からは熊本市の動画コンテストに向けたチーム(2年(12)田中、坂本、
4年(10)石原、吉村)の企画会議でした。私も参加依頼を田中からもらっていた
ので(わざわざそのためだけに2回ほど研究室にやって来て、参加を依頼されま
した)、最初から会議に加わりました。
最初は、それぞれが考えてきたアイデアの紹介でした。
4人ともにそれぞれに面白いことを考えてきてはいたのですが、話を聞いていても
どうもしっくりと来ないのです。
どうしてしっくりと来ないのか考えていたのですが、生身の人間をそこに感じる
ことができなかったからかもしれません。
学生対抗まちづくり動画コンテスト」であるのに、そこに学生という生身の
人間、その存在を全く感じなかった。
アイデアが、人ごと、抽象的、奇麗なのです。
最初は仕方ないことですが・・・
学生と熊本市の関わり、学生目線でのまちづくり、そういったことがアイデアの
核にならないといけない。学生という「人間」の存在を感じない動画など今回は
作る必要がないと思うのです。

何故、アイデアが奇麗な話になってしまうのでしょうか。
しばし、話をしてみると分かります。
要するに、言語化の問題なのです。
自分の体験を言葉にする力が少し弱い
見ているもの、体験していることを臨場感豊かに自分の体の奥底から絞り出した
言葉で表現する力が少し弱い。
その弱さが、身を乗り出して聞きたいようなアイデアへとつながっていかない
原因のひとつではないかと思います。
 
それで、オーラルヒストリーを聞く感じで、私からこの4人にその場でインタ
ビュー調査(半構造化インタビュー的に)を行ってみました。
彼らの生の声を引き出そうと思ってですね。
そうすると、「ダイエー前、集合」とか「街に行こう!」とか大学生ならではの
言葉がどんどん出て来る。
体験も沢山している。
その体験を切り口に、言語化をどんどん促してみました。
でてくる、でてくる・・・
やっぱり、ここ熊本市で、学生は色々なことを体験しています。
大人ではありえないような体験です。
それが言語化する力の不足によって、うまく表現できていない。
もったいない。
体験の本質を言葉という道具でみんなの前に可視化させ、特定の体験に注目する
ことで、熊本市の学生(過去に学生だった大人たちも)が見たらニヤリとして
しまいそうな、60秒ドラマを作れる可能性だってありえるかなと思いました。
おそらく2万人程度(たぶん・・・)の大学生が、この熊本市という場所で、同じ
時間に同じ空気を吸いながら生活をしている。
我が身の体験をじっくりと振り返り言葉にして、その中の特定のテーマを核にして
いくことで、同じ空気を吸う2万人の学生に、さらには過去に熊本市で大学生だっ
た何十万人の大人にも届く映像を表現できるかもしれません。
今は産みの苦しみ。
たくさん悩んで、いいものを生み出してほしい。
※企画会議のときには言い忘れていましたが、ターゲットを誰にするかを明確にしておくことも
大切です。

言語化はやっぱり難しいですね。
経験学習というけれど、経験からの学びには、本質をえぐり出す言語スキルが
不可欠です。
しかしそのスキルが今ひとつ弱い。
このため、経験をしてもかなりの人がそれを学習に繋げることができないでいる
のに違いありません。
ガリラボのスローガンは
  輝く知性は行動無しには生まれない。
です。これは全く正しい。だけど、それだけではやはりいけないのです。
それに、もうひとつのスローガン、言語化する知性を志向した
  健全なホラを吹こう
を併せ持たなければいけない。
言語化せず経験を概念化できない人は、経験は単なる人生のカタログに終わって
しまい、学びの糧になることはならないでしょう。
自分の経験の本質をえぐり、それを言葉にしていくトレーニングがさらに成長を
期待しているガリラボのゼミ生には求められます。
ガリボイスという活動には、実はそうしたことを少し期待していました。
やり方を見直す時期かも知れません。
12ゼミ生からは、ガリボイスのやり方を考えてみる方向で12ゼミ生幹部たちと
相談をしてみたいと思います。

その12ゼミ生は金曜日の絵本の制作発表に向けて徐々にプレゼンの練習を始めた
ようです。道場の鍵を借りに来るゼミ生が増えましたので。
まだ2年生ですが、頑張りますねー
先が楽しみです。
 
熊本に戻るバスの車中にて(残り1回のみ。万歳)。

 

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