2018年2月18日日曜日

人は変化する(=学ぶ)ことを忘れた議論は不毛

ただいま、所用(プライベート)にて九大の伊都キャンパス付近におります。
田園の向こうにそびえ立つ建物群を眺めると、私自身が大学生になったときの母校の
姿を思い出しました。
40年ほど前に開学した母校は、陸軍の演習場だったという野原の真ん中に建設され、
周囲には何もない野原に巨大な要塞が出現しているようでした。
九大のこのキャンパスもそんな感じです。


ところで、本日の朝刊は昨日のオリンピック一色でした。
そして、昨日は、羽生羽生の2文字がネットを飛び回った1日でもありました。
しかも、「羽生が負けた」とか、「羽生が勝った」とか逆の言葉が飛び回っている。
何も知らない方からすると全く意味不明です。笑

もちろんほとんど日本人であれば、この違いは理解できるはずで、負けたのは
将棋の「はぶ」の話であり、勝ったのはフィギアスケートの「はにゅう」の話で
あることは昨日の時点ではほぼ常識のレベルの知識であったように思います。

さすがにマスメディアでは、オリンピックのフィギアスケートで連覇を果たした
羽生選手の方が扱いが大きかったわけですが、そのニュースを見ていて興味深かっ
たのは、羽生選手しゃ小さい時からノートをつけていたということ。
テレビのドキュメントでも放送されたそうですが(こちら)、少年時代から自己を
ノートというツールを使って外化し、それを通して経験学習を行っていたようです。
一流選手でよく見られるやり方です。
大したものです。

というか、私が思うには、話が逆なのだと思います。
そうしたことを継続してやっていた人たちが一流選手の候補になり得るのでしょう。
そうしたことをやってきた人だから生き残ってくる。
そう思います。 
「はぶ」さんを破った藤井6段もそうしたことをやっていたのではないでしょうか。
行き当たりばったりで強くなることはないでしょう。

話題がノートからジャンプしますが、羽生さんと言えば、パソコンが普及しコンピュー
タ将棋が普及を始めた頃に成長された世代です。
コンピュータを使って過去の棋譜を効率よく研究し、それからそれまでの人では勝て
ない羽生さんのスタイルを確立されていったのでした。
これと藤井6段は対比されるように思います。
将棋の電王戦とかでトップレベルの棋士が学習機能を備えたAI将棋ソフトと対戦して
話題を呼んだ時期に成長してきた世代です。
特に調べたわけではありませんが、藤井6段は、AI将棋のような新しい道具を手に
入れて将棋を学んできたのかもしれません。

道具が異なると、それまでの人たちとは対戦の方法が当然変化していきます。
その結果、従来とは異なる新たな将棋のスタイルが生まれ、AI将棋(学習機能ありの
将棋ソフト)で学んできた人たちとこれまでのコンピュータ将棋(アルゴリズムだけで
勝負していく従来ソフト)で学んだ人たちでは戦法のスタイルが随分と違ったものに
なったはずです。
現在、後者の人たちが新しいスタイルで学んできた人たちの戦法に戸惑っているという
状況なのかもしれません。

谷川名人のコメントが衝撃的でした。藤井6段の強さを賞賛をしつつ、20代、30代
の棋士諸君、君らは悔しくないのかというコメントでした。
ちょうど将棋界の道具が変化する時の世代になるのでしょうか。
きっと悔しいでしょう。
ひょっとするとこの悔しさは次の新しい将棋の戦法を創造することになっていくの
かもしれません。

コンピュータやネットが普及し始めた時、今と同様に、人間の仕事が奪われるという
話題がメディアを駆け巡りました。
過去を紐解けば、蒸気機関の登場の時、電子計算機の登場の時も同様の話題が飛び交
ったそうです。。

しかし、人間は、そうした新しい道具の存在を前提に変化して、それらを自分たちの
社会に組み込んできました。

昨今、AIが人間の仕事を奪って行くと言われていますが、それはそうです。
新しい道具は、今の人間の仕事を奪います。
道具とはそういうものです。
そうした道具があることで、よりスマートに仕事がやれるように、人間がやっていく
仕事のやり方が従来とは変わっていきます。
新しい道具が入ってくるのに、やり方が同じということはあり得ません。
人は、これまでも無数の新しい道具を受け入れ、それを踏まえて自分たちが
変化をしてきました。
羽生さんがコンピュータ将棋を使って新しい将棋を創造していったように、また藤井
6段がAI将棋(多分)で学んで将棋界に旋風を巻き起こしているようにです。

人は変化をしていく。
人は、変化=学習する動物です。
この事実を忘れた論調をたまに見受けられます。
そのことを忘れた議論は、ただAIを脅威とする議論に終始してしまうでしょう。

学習の限界があるのかどうかはわかりませんが、人は学びを通して変化する。
そうして新しい道具を呑み込んでいくものです。
藤井6段に越された20代、30代の棋士達も黙って見るはずがない。
きっと新しい道具を活用して、独自のスタイルを生み出していくはず。

そのためには3年間。。。
空白の3年間(ガリラボ通信2012/2/4)は、必要かもしれません。
新しい道具にただ恐れることなく、私も頑張っていきたいと思います。


追伸
今日は熊本城マラソンでした。
3年(15)宿利からメールで
  フルマラソンの25キロ地点にて丸野さんを目撃しました。
  こちらに気付いたようで、元気溢れる声を上げながら快走
  して行かれました笑
との報告を受けました。OB(12)丸野のことです。丸野以外にもきっとガリラボの
関係者がたくさん出ていたんでしょう。完走したでしょうか?
ところで宿利は何をやってるのでしょう。。
多分、運営のボランティアなんでしょう。
宿利も頑張ってますね。^^;





 

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