2020年3月29日日曜日

キャリアとは単線的なものばかりではない

「先生、キャリアセンター長だったんですね」と少し前に3年(17)ゼミ生から声をかけられました。
それが感想なのか、疑問なのか良く判別できませんでしたが、「ああ、そうだったよ」と答えました。

実は、キャリアセンターを立ち上げたときの初代のキャリアセンター長で、現在の大学のキャリア教育もその頃にやった仕事のひとつでした。
トータルでは5年間ほどキャリアセンター長を務めました。
初代センター長の頃、もう今から10年以上も前になりますすが、キャリア教育の必要性(今のキャリア形成論とか)を会議で主張し始めたときには猛反発する先生方が多くおられて(特に年配の先生方)、「大学で、就活の話なんてやるとか、とんでもない」といった意味のお叱りをたくさん受けました。
叱られましたが、最終的には本学では全国でも早い段階でキャリア教育が誕生しました。
その後、5年前になりますが、これも私が関わってキャリア教育の見直しをしますが、大枠はこの10年間ほぼ変わっていません。
 
就活協定の廃止、そして近年のインターンシップを活用した採用活動の急増、また今年になって新型コロナウィルス騒動でオンライン就活が台頭と、就活を巡っては劇的な変化が起きています。
学生調査などを利用して実態を把握し、変化への対応として即座にできることや大学全体の教育のあり方として組み込んでいくべきことなどの検討が不可欠になっているはずですが、どこかで議論は始まっているのでしょうか?
 

さて、「キャリセンター長だった」ということで、その頃に随分とキャリア関係の論文を読み、この分野に興味を持つようになり、その後、主体的にキャリアについてのニュースや書籍を読むようになりました。
キャリアセンター長になっていなければ、興味を持つこともなく、そうした分野の学びをしたいとも思わなかったでしょう。
人のやりたいことって、「動く前」でなく「動いた後」についてくることも多いかもしれません。

次はオンライン就活に関わる記事
https://diamond.jp/articles/-/231215
の中で紹介されていたグラフです。非常に興味深いグラフです。


大学生の多くが実は就職活動を始めてから、色々な企業を見るようになってから、やりたいことが決まっていくことを教えてくれるグラフです。
やりたいことがあって、それに適合する企業をピンポイントで選んでいるわけでもなく、色々な企業を見ていくうちに、知らない世界が広がり、そうしてやりたいことを発見していくみたいです。
興味関心とは、自分の具体的な行動と強い相関を持っていることを教えてくれます。
興味があるから動くというよりも、動いていることで興味が生成されていくことが多いというわけです。
動くことでワクワクすることに出会い、それに刺激を受けてやりたいことが決まっていくのだと思います。
私なども若いころ、物理現象とか数学にしか興味がなく、自分の性格だとその方向しかあり得ないと思っていました。しかし、キャリアということを考える分野とか、地域のこととか、いざ接するようになるとかなり面白いものだと思っています。

ある卒業生が、30歳になって、それまでの超安定していた職場を退職し、挑戦のために転職をしていきました。学生のときの就活では安定したところを選ぶ傾向にあると思いますが、仕事をして自分の人生を生きていくというのは、それだけがすべてではないのことを教えてくれます。

学生たちと話をしていても多くが安定志向の中にある気がして、もう少し発散させていく力をある程度は養成していく必要もあるのかしれないと思います。
先日、進級できなかったゼミ生と3時間ぐらい話をしていました。実に面白いものでした。半年あれば不足分はカバーできるので、残り半年は、いわゆる「ギャップイヤー」としてその時間を利用して多くの学生がやれない挑戦をするといいのではないかとそんな話で盛り上がりました。勉強することの意味を問い直す時間にもできるでしょう。
院OB(M08)佐藤が、随分前にキャリア形成論に呼んだとき、1年生の前で自分でのことを「タックしながら前に進む」と表現していたようにも思います。タックとはヨット用語のようで、前に進むために横移動が必要だということだったと思いますが、エンジンを持たないヨットはジグザグ行動でしか前に進めないということのようです。
たとえ話ではありますが、人のキャリアも該当する場合はあるのかもしれません。
キャリアとは単線的なものばかりではありません。
進級できなかったゼミ生には、タックするチャンスが得られたわけです。
空海の「空白の3年間」の話もしておきました(ガリラボ通信2012/2/4)。
わずか半年しかありませんが、長い人生からみたら「空白の時間」にできる可能性を秘めた時間となるでしょう。



0 件のコメント:

コメントを投稿