昨日のラーニング探求塾のラストの様子をまとめておきます。最後は実践。
この実践では、夏に200人以上の大学生に向けて実施する予定のワークショップを
具体的にデザインしてみて、素人と玄人のデザイナーでワークショップデザインが
どう異なるのかを明らかにすることを目指しました。
両者の比較から、ワークショップデザインのポイントを明らかにしようとしたのです。
この日のプログラム(↓)。探求塾事務局が計画をしたものです。
事務局の二人(4年(10)吉村とM1(13)坂口)は10:00集合。
吉村事務局長は9:57ガリラボ到着。
そして、買ってきた何かを9:59に食べ終わり、準備に向かいました。
神業です。
午前中、事務局は準備に奮闘していたようです。
全ての準備が終わり、12:00丁度、ラストなるラーニング探求塾での
ガイダンスを事務局長が始めました。
なお、この日は探求塾のメンバーだけでなく、2年生(12)がたくさん来てくれました。
昼食を食べながら事務局長のガイダンスを聞いております。
(塾メンバーの平野さんは、この時点でまだ現れず。。。30分ほど遅刻でした。orz)
途中、自己紹介も。。。
ガイダンスを終え、参加者は二つのチームに分かれます。
ワークショップに詳しい玄人デザイナーチームと初めてワークショップを行う素人
デザイナーチームです。
玄人チームは探求塾のメンバーで、素人チームは2年生たちです。
まずはその2チームを混合して、知る活動の一環として、実際に夏にワークショップを
行う現場(教室)を見学しながら、対象となる大学生(2年生)の特徴をインタビューにて
明らかにしていくことを作業(声を聞く&現場を知る)を行いました。
知る活動中の混合チームA。
階段を上がり、小講義室の方にやってきました。
こちらは混合チームB。やっぱり当日になるとトラブルがあるものです。この日、
見学する予定だった教室は全て鍵がかかっていて、中は見ることができません
でした。
30分ほど小講義室の前で、互いのインタビューをして、道場にメンバーは戻ります。
道場に全員戻ったら、二つのチームに分かれて、要求仕様を満たすワークショップを
企画する議論に入ります。
玄人デザイナーチームはガリラボで企画会議。このチームは、探求塾の黒田さん、平野
さん(やっと合流^^;)、3年(11)藤本、そして人数が足りないので2年(12)尾堂を参加させ
ました。
手前は、このチームの観察をしている事務局長の4年(10)吉村。
素人デザイナーチームは道場で企画会議。メンバーは、2年(12)だけで、村上、丸野、
坂本、田中、目代の5人。
後ろは、その様子を観察しているM1(13)坂口です。
持ち時間30分ほどで、六面体と広用紙で企画を表現しないといけない制約が
与えられています。時間が無いので、素人チームは分業によって作業の効率化を
図る作戦にでていました。
14:15過ぎに中間発表。全員で両チームの批評を行います。
まずは素人チームで発表は丸野。六面体にはワークショップの対象者の特徴を
示すこととなっていました。
六面体は使わなければならないという制約は、対象者を6つの異なる視点で表現し
なさいという強制力を発表者に与えることになります。
どういった道具を使うかで、制約の与え方を制御できるわけです。道具、大事ですね。
そしてどういった道具をデザインするか、大事ですねぇ。
玄人チームは全員が出てきて発表ですが、中心は黒田(院OB(06))でした。
黒田が持つキューブには、目、鼻、耳などの5感と最後はハートが書いてあって、
ワークショップで大事なことが表現されていました。
最初のガイダンスで、吉村は、キューブにはワークショップ対象者の特徴を、最初の
知る活動を踏まえて表現することとしていましたが、流石は玄人チーム。聞いてなか
ったようです。
玄人になると往々にあることです。
制約を自己流に解釈して、自己解決していくというですね。。。笑
私もこんな感じことを良くやります。
2つの発表は、制約を無視していた玄人チームの発表が優れていました。
やっぱり社会人。
それらしく話すのはやはり学生に比べると遥かに上手い。
健全なホラを吹こうが染みついています。
中間発表は全員で二つのチームの企画を評価しました。
自分のチームにも投票します。
素人チームが今一つかなと思っていましたが、今回の評価尺度では、レーダーチャートの
面積は両者ともにあまり変わらなことがわかります。
大変良い企画をしていた玄人チームでしたが、やはりみんなには見抜かれていたようで、
「必要な条件を満たしているか」というところが異常に低く、話を聞いていなかった
ことがここで露呈をすることになりました。笑
批評会が終わったら、各チームとも持ち場に戻り、批評会でもらった意見を参考に
企画の練り直しです。
素人チームは、ホワイトボード前に集まり、書きながらアイデアを表現していきます。
全体的に見て、静かでした。
一方、玄人チームの方は、全体的に騒がしい。
ちょうど写真を撮りに行ったとき、平野さんが本を取り出していました。本から、
アイデアをいただき、今回のワークショップに応用しようということのようです。
この点が素人チームとは全く異なるところですね。
詩人ポール・ヴァレリーが、「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」と言ったそうです。
玄人チームの明るさは、このアイデアいっぱいさの程度から来ているのかもしれません。
素人チームで、こうした参考文献が出てくることはありませんでしたので(当然で
しょうが)、そこが両者で大きく違うなと思ったところでした。
知識の差が場の楽しさの違いになって現れるように感じました。
その後、玄人チームは、作業を始めました。ここも違うところですね。この
短時間でできる作業をひねり出し、具体的な行動に移っている。
素人集団との差はこういったところにも見られます。
そして最終発表会。
どういったワークショプにするか、具体的な案の発表です。
素人チームは、2年(10)丸野が発表。
よくまとまった案になっていました。それ以上でも以下でもない。
短時間で、しかも知識もない中で企画していくことの難しさを
感じたのではないかと思います。
一方で、玄人チーム。こっちは、全員で胸と背中に手製の「疑問カード」を
貼付けて登場。
発表でその意味が明らかになりました。ワークショップにおいて、コミュニ
ケーションを誘発するための仕掛けをなのだそうです。何に疑問を持っている
かを学生がワークショップの期間中に考え、体につけておく。
フィールドに出たときに、疑問を明示的に表現しておくことで、周囲の人との
コミュニケーションが誘発されることが期待されます。
そうして地域についての情報を自分ごととして収集していくことが可能になる
のだということでした。いいアイデアですね。
2つのチームの発表を終えた後、素人チームの観察者M1(13)坂口から、素人
チームは企画をどうやって進めてきたかを、観察結果をもとにフラッシュカードに
まとめ、解説をしてくれました。
こっちは玄人チームの観察者4年(10)吉村による、玄人チームの活動パターンの
解説。
坂口、吉村の報告は、素人と玄人の思考パターンの違いを浮き彫りにしており、
非常に興味深いものでした。
観察者の報告を興味深く聞いている素人チームの5人。
同じく玄人チーム。すべてを終えて、いい感じです。玄人らしい雰囲気を
醸し出しています。
私が撮影したものですが、なんか、いい写真ですね。
17:00。すべてを終え、またラーニング探求塾の休止の意味で、全員で
一本締めで終了。
夏からの始め半年間活動したラーニング探求塾は活動を休止します。
半年間でテキストを3冊読み、異なる年代の人たちと勉強やイベントや色々な
ものが混ざった形でいい塾であったと思います。
事務局としてこの塾を牽引していった4年(10)吉村とM1(13)坂口はお疲れさまでした。
二人の塾を開催する前の事前の努力なしには、この塾が半年も楽しく継続することは
なかったでしょう。ご苦労様でした。
こうした活動を裏方として支えていく経験した吉村は、この塾のおかげで大変成長
しました。本人が自覚しているかどうかは別にして、こうした混成集団を支えていく
のは結構難しい。坂口のサポートがあってからできたわけですが、「塾の運営」と
いう実践を共有する実践の共同体を私と坂口という熟練者、兄弟子の下で、周辺参加
者として活動することで、わずか3人ですが、この3人で形成した実践の共同体に
よって、状況に埋め込まれた形で学習をしてきたわけです。
実践の共同体は知識の伝達効率が極めて高い。
贅沢ですね、大学教員と中学教員の二人の知識を、高い効率で、しかも無料で伝授
されているわけですから。
もっとも誰でもそうした周辺参加者になれるわけではありませんけれども。
最後に、素人チームと玄人チームの思考過程について簡単に触れておきたいと
思います。
これは(↓)、坂口による素人チームの思考過程を表現です。議論が非常に
揺れながら、進んでいる様子が描かれていました。
私もこちらのチームを見ていましたが、確かにそうでした。
私が気づいた点は、みんな非常に真面目だということ。
真面目であることは別に悪いことではありませんが、プレイフルな状態になかなか
もっていけない。
映像の企画作りのときも同じような傾向がありました。
プレイフルになるには、何らかの条件が必要なようです。
果たしてその条件とは何でしょう?
一方で、玄人チームは非常にプレイフルな場を形成できていたようです。
観察していた吉村が、非常に楽しい時間になっていたと言ってましたので。
玄人チームの話し合いは、大半が雑談だったそうです。ワイワイガヤガヤ状態。
それが締め切りの時間が近づいたあるときに、急速に結論モードに移行して
いったとのこと。
素人チームは、話し合いが二転三転していたのに対して、玄人チームはご覧の通り、
わずか4つのモードしか観察できなかったようです(もっとも、モードの内部では
二転三転しているのでしょうが)。
きっと、雑談では、色々な可能性を探っていて、雑談を通して色々な企画の種が生
まれていたのではないでしょうか。
さらに玄人チームは、これまでの経験から豊富な知識を持っている。
そうした材料の面白さがプレイフルな状態を作り出し、それが雑談を駆動していた
のではないかと思います。
二つのチームの話し合いを録音しておいて、コーディングし分析すれば、面白い
知見を導きだせたかもしれないなと思いました。
今回のワークショップについては、録音はありませんが、たくさんの記録を下に事務
局長4年(10)吉村が3月20日を目処に論文の形でまとめる予定です。
こうしたデータの処理方法も現在個別ゼミで勉強しているところです。
参加者のみなさん、論文を楽しみにしておいてください。
ラーニング探求塾の皆様、またいつか塾を再開して、新たな学びへと向かっていきましょう。
オープンであること、
閉じぬこと、
そして、問い続けること。
問いに生き続けること。
仲間とプレイフルな状態で勉強していくことは、他のどんなことよりも愉しい!
<おまけ>
ガリラボの廊下の窓から飛行機を見つめる少年 ^^ きっと未来を見ているのでしょう。
(私も同じことをよくしてます。ただし、私の場合は、特に未来は見てませんけど。そろ
そろ無くなってきていますので。)
先生の未来はさらに続くと突っ込ませてください。
返信削除終わらせません。
理由はご存じの通りです。
非常に有意義な時間が伝わります。
3/7は先生不在のなか、すみません。
よろしくお願いします。