2011年7月31日日曜日

不便のススメ

311で大きな被害を受けた岩手ですが、そこの地元新聞「岩手日報」が

カンヌ国際クリエイティブ祭2011メディア部門

で金賞を受賞したとのことです。

YOUR HAPPY NEWS IS OUR TOP STORY


こんな発想はやっぱり「周辺に位置する」ところでないと出てこないの
かもしれません。

当然ながら地方の新聞は発行部数減少に伴い、危機感の強くなっており、
周辺性が強くなっております。
岩手日報ももちろんそうで、周辺的で危機意識が強い新聞社だからこそ、
新しい試みに挑戦したわけです。

自分のニュースこそが、世界中のどんなニュースよりも価値がある
(Your news is bigger than the world's)
当たり前のことですが、こんな基本的な事実への気づきが「IWATTE」なる
新しいサービスを生み出したのです。

IWATTEは、もちろん「岩手」と「祝って」をかけたコトバのようです。

このサービスは、自分のお祝い事についてこのサービスに依頼するとオモテ面は
そのお祝いについてのニュース、ウラ面はその日の岩手日報の1面を印刷して
配達してくれるそうです。
結婚式の時だったら、この号外を披露宴の招待客に配布するといった粋なことも
可能のようです。

IWATTEのサイトへ


祝電とはちょっと違う、新しい表現の仕方ですよねぇ。
面白い試みだし、このおかげで岩手日報は発行部数減少を食い
止めることにつながったそうです。

実は新しいメディアというのは、周辺に位置するところからいつも
誕生しています。
住民ディレクターなどがそうでした。

「鄙の論理」という本がありますが、鄙=田舎=周辺とは、実は、
新しいスタイルを生み出せる可能性を秘めたところでもあります。

鄙の反対=中央は、もともと発信する手段を持っているがゆえに、
既存のメディアで充分であり、それゆえ新しいメディアを生み出す
必要がないのです。

周辺に位置するところは、発信する手段が不足し、不便であるこ
とが、新しいものを生み出すエネルギーとなっているのかもしれません。


先日、ゼミ生とそういったことを話したことがあります。
ある程度の不便性は絶対に必要だということです。
ガリラボのPCが多少不足していることを正当化するわけでありませんが、
その不便性が実は思わぬ相互作用を生み出し、創造的な場を即興的に
生み出していると思っています。

不便さのことを、矛盾と呼ぶことすれば、実はそれを利用した活動は、
ユーリア・エンゲストロームが言う「拡張による学習」に他なりません。

拡張による学習は、ガリラボでは院OBの山部が修士論文の基礎理論
として使い、大津高校の変化をそれで見事に読み解いていきました。

適度な不便さは、適度な制約は創造に結びつきます。
ということで、多少不便をあえて取り込み、ガリラボを利用していきましょう!  ^^;  


さて、ここまで書いて、以前にも同じことを書いたのを思い出しました。
2009年10月7日のガリラボ通信
読むと、ほぼ同じ内容です。
3年前から成長していない自分に気づき、がっかりです。
ゼミ生に負けないよう、学びを深めて行きたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿