2012年7月22日日曜日

三手の読み~他者に成り切る~

7月17日のガリラボ通信で、TEDxTokyo 2012 - 科学とアートが交差する」の
河瀬直美さんのプレゼンを紹介しました(こちら)。
分野は違いますが、今日は棋士の羽生善治さんのプレゼンを紹介したいと思います。


このプレゼンで、羽生さんが「読み」というものについて10分余りのわずかな時間の
淡々と解説されています。
読みの基本は「三手の読み」だそうです。

(1手目)自分がこう動かすと、(2手目)相手がこう動かすだろうから、(3手目)自分
がこう動かす、というのが三手の読みで、読みの基本単位になっているようです。

話としては単純ですが、解説を聞いてなるほどと思いました。
1手目と3手目は自分のことなので、問題はないけれど、問題は2手目。
相手の動きをどう読むかというところです。
 
相手の動きを、自分の立場で考えるといった子どもの思考レベルは論外ですが、
下手くそな読み手は、相手の立場には立つもの、相手の立場に立った上で、
自分の価値観で判断している可能性がある。
こういうのを「勝手読み」と呼ぶということで、こうした判断をしてしまうと、それ以後を
どう予想しようが、無意味になるのだとお話されていました。

相手の立場に立って、相手の価値観で判断するとは、要するに、他者になりきると
ということであり、これはかなり難しいことです。
だから、相手が存在するゲームの場とは、他者を自分の中でシミュレーションできる
だけの大きな脳が必要になるようです。

相手の立場で、相手の価値観で考える。

教員である私でいえば、学生の立場で、学生の価値観で、自分の講義を読んでいく
ことが要求されるわけですが、少し考えただけで、その困難さ予想できます。
多くの教員が失敗していそうです(涙)。
どうしても、自分の価値観で判断してしまうでしょうから(そっちが楽ですから)。

三手の読み。
簡単そうに思いましたが、相手がいる状況においては、かなり難しいことです
他者とのやりとりが必要とされる仕事では、こうした三手の読みが要求され、自分
だけに閉じた仕事の場合よりも高い次元の思考が要求されることになります。
(1980年代、栄華を誇った日本の半導体産業の凋落も、この三手の読みの失敗
にあったことはよく知られているところです)
こういうことまで考えると、営業の仕事とか難しいのだなと改めて思います。
そうした仕事になると、とてもコンピュータなどでは代替できそうにありません。

前置きが非常に長くなりました。羽生さんのプレゼン(10分間)をゆっくりとご覧ください。


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