2012年5月6日日曜日

物語を作るチカラ

昨晩NHKで放送された映画「ウォーリー」を見ました。

「ウォーリー」の画像2

ゴミ処理続けてきたロボット「ウォーリー」が誰かと手をつなぐことを夢見て、
それを実現していく物語でした(・・・だったかと思います)。
セリフをほとんど使わず、ロボットのしぐさだけで意図を伝えていく表現スタイルで
それは大変素晴らしいものでした。
物語自体はすごくシンプルですが、しかしそれゆえに強力であり、かなり共感を
覚えました。

さて、書きたいことは物語(ストーリー)とそれを作るチカラのこと。

日産社長カルロス・ゴーンさんも最近このことについて講演されているみたいで、
こんな記事を見つけました。
 ⇒ 最強ブランドはSNSで作る

双方向のソーシャルメディアを活用してブランド作りを進めていくことが
重要であることに言及されていて、特にその中で、
 それ(ストーリー)を選んで、編集して、発信するプロセスが大切。
 KotozukuriもMonozukuriと同じように『プロセス管理』に要諦がある。
と述べられています。

別に日産だけでなく、どこにでもたくさんのストーリーが転がっています。
そのことはゴーンさんもちゃんと仰っている。
その転がっていることを、
 ・選び、
 ・編集し、
 ・発信していく、
そうしたことができるようにしていくことが大変重要だ、と。
そういう力が必要だと、そう語られています。

ガリラボでは、ワークショップやフィールドワークを通して、この3つのプロセスを
多くのゼミ生が体験しているかと思います。
どういう物語を、どういう形で表現し、発信していくか・・・
個人的には映画とかそういう壮大なことは考えていませんが、ゼミ生が小さな物語
で良いので、それを多様なメディア(文字、画像、音声、動画、アニメ、紙、パワポ、
音楽、身体・・・)を駆使して物語表現ができるようにになってほしいと思い、ガリ
ラボでの課題は設定しているつもりです。

さて、物語。
私たちが物語というものに強く関心を抱くのは、人間の外界認知の仕方に
よるものです。
どんな民族も神話またはおとぎ話というものを語り継いでいて、それを幼いころ
から聞いて「人」は育ち、そして「人」になっていきます。
その過程で、外界の認知の仕方に物語性を利用する方法が刻み込まれていっ
ているのだと思います。
桃太郎を聞いて鍛えた認知能力があるから、名探偵コナンが番組の最後に自
分の推理を物語として表現してくれると、事件についての深い理解を得ることが
できるわけです。
人間(コナン君)は、外界の無限にある複雑な事象を類型化(カテゴリー化)によ
って単純化し、さらにそれらを取捨選択し、取り出したカテゴリーを時間の流れの
中に位置付け(因果関係の設定し)ている。
そうして外界のことを理解している。

さて、最近、大学院の授業で使っている情報社会のテキストにこの物語について
こういったことが書かれています。

  私たちは複雑な世界を単純な秩序に従っているものと解釈することで、
  それを”理解”し(たつもりになっ)たり、記憶したりすることが楽になる
  のです。それが物語作りです。

人間にはこうした認知の仕組みがあります。(だから映画は無くならない)
その認知を刺激していくには、物語作りが不可欠です。
特にシンプルで、感動的な物語が重要になるでしょう。
映画「ウォーリー」では、孤独であったロボット「ウォーリー」がその孤独から
脱して誰か(イブ)と手をつなぐという夢を実現していく物語が100分ほどで
表現されていたのでした。大変感動的でした。

これからガリラボでは二つの学生GPにおける卒業研究の作業の過程で物語
作りが強く要求されていくことになるでしょう。
また、菊陽での活動も三里木商店街をソーシャルメディアで発信していく上で
重要になっていくでしょう。
そのためには、

 ・選び、
 ・編集し、
 ・発信していく、

がポイントになっていきます。
意識して鍛えていきましょう。
将来きっとそのスキルが役立つと思いますので。

ところで、物語を自分史と考えれば、上記3つのポイントは、シューカツの際の
エントリーシート(ES)を書くことに相当しているように思います。
ESを書くことの大変さは、自分の物語をどう作っていくのかという点にあるので
ないかと思います(書いたことがないので想像ですが)。
物語性のないESはクリープを入れないコーヒー(←古すぎて分からないでしょう?)
と同じで、興味を引くことはなさそうに思います。
だって、エントリーシートを読むのは人間なんです。
機械ではありません。
人間が読むものであるならば当然ながらそこには物語性があった方がいい。

様々なところで物語は利用されています。
だから、人は、物語を作っていく。
ならば、そんな力もまた鍛えていく必要がありそうです。
 

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