2014年5月25日日曜日

定時制高校の生徒たちの歌を読んで

ネットで知った情報をもとに、ある小さな本をAmazonで購入しました(中古本)。
近年の消費行動のパターンSIPSに従った購買行動であったかと思います。

読むべき本、またやらないといけない仕事もたくさんあるのですが、現実逃避
してしまい、買った本をついパラパラと・・・



定時制高校に通う生徒たちが詠んだ短歌を通して、定時制高校という存在の
意味を考えさせ、そしてそれを鏡にして、自分の今を振り返るのに優れた本でした。
さすがに時間がなく全ては読んでいません。
パラパラとめくって目に留まったのが次の短歌でした。
  生きること疲れて手には亡き母の携帯写真温もり心に
私立の進学校に通っているときにお母さんが亡くなり、生活費を稼ぐために
高校を中退し、複数の仕事をかけもちしていたそうです。
仕事だけの人生に、寂しさを感じるようになった頃、この定時制高校(工業高校)と
出会い、入学したのだそうです。
複数の仕事をかけもとしながら生活費を稼いでいることについて、次の歌が掲載されていました。
  水商売そば屋にアパレル7つ目コープ涙と辛さ隠して生きる
最初の歌でわかりますが、この女子学生の携帯にはお母さんの写真が入っている。
10代の女子生徒に向けられた過酷な現実。
強く心を打たれました。
 
定時制高校には過酷な状況におかれた生徒たちがたくさん学んでいるとのこと。
夜間の定時制高校には不登校やひきこもり経験生徒が立ち直る力があるのだそうです。
その理由として、以下のことが書かれていました。
(1)働きながら学ぶ高校であること。
 学校以外の仕事場の先輩や大人から、仕事や人間関係のあり方などを教えられ、人生を学ぶことができる。
(2)多様な生徒が学んでいること。
 不登校やひきこもり経験生徒以外にも、多様な生徒がいる。それぞれが、挫折経験の中から、自分の居場所、人生のやり直しを求めて学んでいる。
(3)1人ひとりの個性が尊重されること。
 服装や髪形などの決まりがないなど、昼の学校と比べて校則がゆるやかで、過ごしやすい。ある担任の先生が「一人ひとりの生徒の個性に真面目に向き合うこと、そして生徒のありのままを受けれ認めてあげることと、いつもそばにいてあげること」と話されている。教師であれば誰でもそう思っているだろうが、(2)のような生徒に向き合う時こそ、その真価が問われる。
(4)生徒たちによる励ましや支えあう関係があるということ。
 生徒たちが様々な挫折経験を持っているからこそ、弱い立場の人たちへの思いやりがあり、他者への関わりや影響力も大きくなる。

特に(4)が大事ということでした。
 
上記4つの条件を読み、完全ではありませんが、ガリラボという場所もこうではないかと思いました。
いかがでしょう?
ただし、それが最近少し変化してきている。
私が多忙になりすぎた影響も多少あると思いますが、ガリラボのテーブルでの雑談が
減っている。
4年(11)藤本がそのことを憂慮しており、どうにかしていこうと考えているようです。
色々な立場の人が、ガリラボの中央のテーブルで雑談するということは、上記の4つの
条件を満足させるための最初の条件になるだろうと思います。
コミュニケーションの無きところからは何も生まれていかないでしょうから。


話を戻します。
私が本日手にしたこの小さな本は、その定時制高校の先生が編集されたものでした。
1人ひとりの生徒の歌とその歌に関わる生徒の物語(ストーリー)が収められています。
短歌というツールを用いた定時制高校についての優れたエスノグラフィーに思える本でした。
素晴らしいものです。
 
そして、定時制高校の生徒たちの過酷な状況の中で、彼らがその中で生きていくということ
それを短歌で表現した優れたこの本を前にして、今の心地よい安定した環境にだけ安住して
いてはいけない。
そう強く思いました。
 

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