2012年1月15日日曜日

横棒の長さ比較クイズの解答

先日、次の画像について、「上下でどちらの横棒が長いでしょうか?」との
クイズを出しました。

15人ほどのゼミ生が積極的に参加してくれました。
どうもありがとうございました。
その中の7人ほど(在学生+卒業生)は直接メールなどにて解答をしてもらい
ました。
メンバーを見ると情報発信力の高そうな人たちで、なるほどという感じでした。

さて、協力してもらった皆さんの解答について、そのほとんどが、
 両方同じ
というものでした。

この答を聞き、私が、ニヤリと笑ったことは言うまでもありません。
「ご存知ないんですか、それって実は同じなんですよ」、とわざわざ忠告して
くれるゼミ生までいて、その時はもう内心は狂喜乱舞、ガッツポーズをして
おりました。

問題を出すときに、
  今日、こんな画像(下)を見つけました。
  面白いですねー。
と書かれてあったことにお気づきでしょうか。
実は、これはウソです。
引っ掛け問題のつもりで意図的に加えたフレーズで、問題の画像は、Wordの
オートシェイプを使って私が自前で描いたものなのです。

さて、私の自信作のオートシェープは、補助線を入れた下図を見ればわかりま
すが、下の横棒がわずかですが長く描いてあったんです。



ということで、解答は、下の横棒が長い!です。
大方の予想に反して、同じじゃなかったんですねー。

残念でした。v(^^)v

この問題は実は私のオリジナルではなく、「机上で「常識」は超えられない」という
記事を見て出したものです。
この錯視図形はあまりにも有名なために、その有名さを逆利用したのが、この
記事でポイントでした。
人は、ある意味で成功体験のようにものを知識として獲得していると、常識の罠
というか、そういったものに捕まり、きちんと観察しないまま、思いこみで判断を下
してしまうことを示す実験だったんです。

記事を書かれた三谷さんは、記事の中で、次ような意味のことを書かれています。
 
講演とかで、この図を紙に印刷して、配布した後に問いかけることもあるそうです。
しかし、ほとんどが見て考えているだけで、「同じ」と答えてしまうとのこと。
手元に紙があるわけですから、紙を折り曲げて確認するという実験をしてみれば
すぐにわかることであるにも関わらず、です。

人と言うのは、こんな感じで、机上の空論的な行為をすることが意外に多いのです。
実験と言う作業を避ける傾向にあります。
理由はたぶん簡単です。
実験と言うのは行動です。
行動する、一歩踏み出すと言うのは意外に人は億劫がるのです。
机上の空論が多くなるのは、この億劫さ、面倒くさがる人間の性質のようなものの
影響かと思います。

これに対し、小学生などにこの問題を出すと、あっという間にみんな実験を始め、
下の棒が長いことを見破るとのこと。
また、ほんとに高度な知性を持つ人もやはり自分の常識を疑い、実験をしようと
考えるようです。
ここで言う高度な知性とは、頭の切れというよりも、行動を厭わず、それまでの常
識に果敢に挑戦していくタイプの知性のようなものです。
創造性は、そういった知性から生み出されてきます。

ガリラボのスローガンのひとつである、
 輝く知性は行動なしには生まれない
というのは、ここで述べてきたことをゼミ生に伝えているつもりです。
面倒でも最初の一歩を躊躇しない、行動を厭わない、そういった経験が、次のレベ
ルの豊かな常識(知識)につながっていくのです。
横棒が同じでないことを知った人たちは、あの錯視の問題を単純には捉えなくなる
でしょう(知識のレベルがひとつ上がったのです)。
本日朝からずと読んでいた学習論の専門の本によれば、社会人の成長を決める要
素は、
70:20:10
の比率になっていて、それぞれ
直接経験:他者からのアドバイス:読書・研修
となっているそうです(優れた管理職についての米国での追跡調査研究)。
直接的な経験=行動していくことがいかに大切か、これの法則からもわかるかと
思います。
今学生である人も、いずれは社会人になるわけで、一歩踏み出していくことが将来の
自分を作り上げていく上でいかに大切かを知っておいて損はしないでしょう。
そのことを意味を込めたスローガンのことを改めて伝えようと、横棒問題をガリラボ通
信に取り上げた次第です。

行動するに気になったでしょうか?
偉そうなことを書きましたが、私自身はこの問題を最初見たとき、「同じ」と判断した
ことは言うまでもありません。

意外にですが、成功体験が強く、それがどうして成功したかに無頓着なままに先に
進んだ人は、結構危ない。
組織のトップの人など一番危ないかもしれません。
それまで成功してきてそのポジションにいるわけですから、横棒が同じに見えてしまう
危険性が高いと言えます。


この点について、将棋の米長名人についてこんなエピソードがあるようです。
数々のタイトルを獲ってきた米長さんですが、40代の頃にスランプに陥り、若手の
棋士にまったく勝てなくなったそうです。
そえで若手の棋士に聞いたのだそうです。
自分の敗因をどう思うか、と。
そうしたら衝撃的な答えが・・・・
  要するに、米長さんは強烈に強い得意技を持っている。だから、ある局面になると
  その得意技を使ってくる。
  だから、その技に対する対処法を勉強しておけばよいわけで、それで勝てるのだ、と。
強い技を持っているから逆に良いのだと、そういうことだったそうです。

米長さんの知性の凄さはここからです。
20代の棋士を「先生」と呼び、弟子入りをするのです。
数々のタイトルを獲ってきた人が、名もない若手に弟子入りするなど普通はできる
ものではありません。
しかし、米長という高度な知性を持つ人物はそれをやった。

それから、新しい時代の将棋の感覚を身に付けた米長さんは、50歳台で名人位を
最年長記録で獲得することになったのだそうです。
過去の知識を捨てることを「アンラーニング」と呼ぶのだそうですが、時代遅れに
なった知識を捨てることを意味します。
それができるのは高度な知性だと思います。
そうでない知性は、机上の空論を続け、持ち合わせている常識だけで、すなわち頭の
中だけでコトに当ろうとするでしょう。

米長さんの凄さは、40歳台から始まったということで、人とはいくつになってもやり方
さえ間違えなければ成長を続けられることを示しています。

そこで大事になってくるのが行動し、経験していくことなのです。
頭でっかちになっていませんか。
少なくとも今回のクイズでは大方の人が(私も含め)、頭でっかちになっていました。
何人かそれらしい人もいましたが、明らかに一人だけそうでない方がおりました。
昨日もたまたま話題に出した院OB(08)の佐藤です。

彼のメールの一部を(無断で)掲載します。
   年賀状ありがとうございました。夜分に見たため、一瞬、手書きか!?と目を
   疑ったのですが、「いや、あまりにキレイだ・・・。」と訝しんだ私の真偽眼に狂い
   はなかったようです。
   さて、私もクイズへの解答を寄せてよいでしょうか。
   答えは「同じ長さ」と思いきや、「下の方が長い」ではないでしょうか。(今しがた、
   先生の年賀状を画面にあてて確認しました。)
どうでしょう。答えを得るのは、こんなに簡単なのです。

私からの年賀状を使うという不届きな性格は気づかなかったことにしますが、創造
的であること(常識から抜け出すということ)は、師匠からの年賀状を物差し代わり
に使うという不届きな(大事なので2回書きます)行為など気にもしないということが
大切で、年賀状をディスプレイにおしあてるそんな間抜けな行為を厭わない、愚鈍
な高度な知性でないといけないのです。
ついでながら、佐藤から、物差しの役割をもらった(物差しの役割ぐらいしかできないと判断された)私
の年賀状も、卒業生の役に多少なりとも立てたようで満足だったかと思います。手書き風のお年玉付
き年賀はがきを送った私にとっても嬉しい限りです。
が、もしお年玉が当選していたら、返却をお願いしたいと佐藤のメールを見て思いました。


中途半端な知性では机上から抜け出せません。
ある一歩を踏み出す時には、愚鈍で高度な知性が必要です。
横棒を眺めながら、この点に改めて気づいてもらえるとうれしい限りです。

行動と学習との関係についてはまだまだ書きたいことがありますが、数えてみたら
すでに3,000文字を超えていました。
長すぎて、ここまで辿り着いているゼミ生も少ないと思いますので、この辺りでやめ
ます。

最後にメールで協力してもらったみなさんありがとうございました。お礼の意味を
込めて紹介させてもらいます。それぞれ独特の解答してもらっておりました。感謝。
院OB(06)黒田、院OB(08)佐藤、M2(10)松尾、4年(08)戸高、松永、3年(09)市川、緒方

追伸
明日(16日)は東京日帰り出張で、ひょとするとガリラボ通信はお休みする
かもしれません。
もし熱心な読者の方がおられるようでしたら申し訳ありません。m(_ _)m
 

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