2012年1月23日月曜日

新しいことに挑み続けなければならない

世間では、といっても教育関係に興味を持っている人だけでしょうが、
東大の秋入学について色々と話題になっています。

高校を3月に卒業して、10月に大学入学だと、半年間という「ギャップ・
ターム」が生まれることになり、この期間が話題になっているわけです。

東大からは、その間に様々な経験をして入ってきてほしいといったことが
発表されていました。
なるほど、ですね。わかります。
また、ある方(大学教員だったような?)は、その期間に基礎的な勉強を
やり直して来た方がいいということで、リメディアル教育に充てるという意
見もありました。
リメディアル教育とはあまり聞きなれないでしょうが、「補習教育」を意味
する言葉です。
それを目にして、補習教育とか、そんなことのために秋入学??・・・と、
ちょっと漠然とした気持ちの悪さを感じていました。
気持ちの悪さを感じつつ(数日で忘れていましたが)、今日、この問題に
ついて、茂木健一郎さんのツイートの存在を知って(別のツイート経由で
す)、気持ちの悪かった原因が、結果として、旧来のパラダイムを生き延
びさせるのに貢献するリメディアル教育に違和感を感じたことだったこと
を理解し、それで気分は完全に解消されました。

茂木さんのツイートとは、

  東大の秋入学への移行を全面的に支持する。
  新しいことに挑み続けなければならない。

というタイトルの連続ツイートです(こちら)。
たくさんツイートされていますが、最後の方の二つに特に共感を覚えました。

  ギャップ・タームの発生は、「履歴書に穴が開く」という、日本独特の
  不思議な切迫感を無効化することだろう。
  新卒一括採用にも当然破壊的作用をもたらす。
  すばらしい!
  「履歴書に穴が開く?」バカじゃないんですか、あんた。
  そんな国際的常識がやっとこの国に根付くか。

これを読み、目から鱗でした。
私自身もそうなのですが、ストレートに行くことが絶対になっていて、ストレー
トで進んでいかないといけないということが一種の強迫観念にもなっているよ
うに感じ、そんなストレート病とでもいうべきものが蔓延しているように感じて
おります。
この病気というか、ストレートパラダイムというか、そういったものが若者世代
(いや、むしろ子を持つ大人世代がそうなのかもしれません)を支配していて、
それが多様性を減少させる方向に向けているのかもしれません。
何かを契機に、そのパラダイムをよい形に向けて破らないといけない。
秋入学はそのためのツールになり得るのかもしれません。

これは、学校と産業界の関係のあり方も変えていくことにつながるでしょう。
1月6日に、企業側から同様な動きがあることを書きました(シューカツへの
破壊的イノベーション)。
現在の新卒一括採用=ストレートパラダイムに限界があることを示す具体的
例だろうと思います。
今後こういった動きが続くかどうか、私には予想できません。
さらに、先ほどこのツイートを見たばかりであり、深く考えたわけでもないので、
どう変わっていくか、残念ながら具体的イメージも持っていません。

しかし、これらの変化によって、学校教育のあり方が大きく変わっていくこと
だけはわかります。
手を変え品を変えと、ちまちまと同じパラダムの中を漸進的に進むだけだった
教育改革に対する破壊的イノベーションになり得るだろうとそれはイメージ
できます。

大変でしょうが、しかしこれは茂木さんの最後の方のツイート

  東大の秋入学移行は、もう一つの点からも支持される。それはつまり、
  「新しいことに挑戦し続ける」ということ。
  移行の苦労はあるだろうが、今までないことに取り組み続けることが、
  社会を活性化させる。
  このところの日本は、惰眠をむさぼりつづけ過ぎた。

からわかるように、新しいことに挑戦し続けるべきだと思います。
同じところに留まり続けるためだけであっても、新しいことに挑戦し続けない
といけないのです。
赤の女王仮説として、このガリラボ通信でもよく取り上げてきた通りです。
同じことですが、見る前に跳ぶ!・・・適応していく方法として、ポストモダン
経営学が教えるところでもあります。

それにしてもこういった思い切った改革を、あの巨大な組織がやろうとする
ことに敬意を表します。
東大だからできるという面もないことはないでしょうが(地方の一大学がこう
いったことを言っても世間が相手しないでしょうから)、それでもやはりすごい。

今後の教育改革への影響を注視していきたい。

とまあ、ガリラボ通信に書くには極端に固い話になってしまいました。

ただし、これは組織や制度だけの問題でもありません。
個々人の生き方の問題もでありますね。
メンドーだったり、キツかったりすると、頭の良い人は、それをしないでいい
理由を考え出し、新しい世界に踏み込むのを拒否しようとするものです。
一種の防衛本能なのかもしれません。
それもよく分かります。
が、しかしそれだけに終始してしまうのもですね・・・

ガリラボのOG(04)は20代後半になって外国に飛び出してしまいました。
4年生(07)のひとりも卒業後すぐには就職せず、冒険的挑戦をするようです。
さらに、文系の常識だと学部卒業後すぐに就職ですが、あえて立ち止まり、
大学院の道を選ぶのもいます。
もちろん、何が正解かはもちろんわからず、ストレートであっても何ら構わない。
レールに乗ったストレート列車の上で何も考えずいつの間にか先に進んでいる
ストレート主義が一番よくない。

時間が無くなったので中途半端ですが、以上です。
茂木さんの「新しいことに挑み続けなけばならない」とのツイートに刺激を受け、
ついつい長々と脈絡のない文章を書いてしまいました。 (ちょっと反省)

・・・・

新しいことに挑み続けなければならない。
私個人は来年度また、そして(それゆえ)ガリラボもまた新しいことに
挑戦することになります。
どうぞよろしく。






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