2012年1月17日火曜日

死に直結する現場で鍛えられたプレゼン

昨日は日帰り東京出張で文部科学省での説明会に出かけてきました。
全国の180の大学から360人が集まり、参加者はみなかなり真剣な
ものでした。
単なるフォーラムですと、居眠りしている人もよく見受けますが、周囲を
見渡してもそういった人は皆無。
どれほど真剣だったかわかるかと思います。


東京に出かけるたびに毎回感じるのですが・・・
この日は、自宅から空港まで0.3時間、飛行機1.5時間、羽田から目的地の
新橋まで0.5時間ほど。
合計、2.3時間です。だいたい2.5時間。
天草に行くのと変わりません。
距離感や時間の感覚がおかしくなります。

さて、東京に行ったからというわけでもありませんが、たまたまなのですが、東京
消防庁の佐藤康雄さんのプレゼンテーションの存在を知りました。
佐藤さんという名前だけではわからないでしょうが、次の写真を見れば、日本人で
あれば誰もが知っているのではないでしょうか。
福島第1原発への放水作業の任務にあたった方々です。
写真の真ん中の方が佐藤康雄さん(東日本大震災当時、東京消防庁警防部長)です。


佐藤さんが、あるカンファレンス(TEDxSeeds2011 2011/10/22)で、30分弱の
講演をされています。
ちょっと長いですが、日本人であれば、一度は見ておいて損ではないと思うほど
素晴らしいプレゼンなので、30分以上時間のある時にじっくりと視聴してみて
ください。



何度も涙を堪えることができませんでした。
こんなに素晴らしいプレゼンはあまり見たことがありません。

ヘルメットを着用してもらい会場の人たちに仮想的ですが、状況の中に入り込んで
もらう工夫、聴衆に対して随時やりとりをする工夫、さらにサプライズという仕掛けを
巧妙に仕組んでおくなど、ジョブズ並みというか、プレゼン自体はジョブズ以上では
なかったかと思うぐらいに迫力がありました。

とにかく、この佐藤さん、凄すぎて、一般的な公務員のイメージとはまるで一致しません。

しかし、よく考えてみると、消防の人たち(これは警察や自衛隊もそうでしょうが)は
他者への意思伝達がうまくいかないと、死に直結してしまう場合が多分にあるわけで、
だからプレゼンはうまくならないといけないのだと思います。
曖昧な、歯切れの悪い、何を言っているのかよくわからない指令を出してはならない
でしょう。そういった指令は、特にハイパーレスキュー隊が扱わないといけない尋常で
ない現場では即座に死に至ることもあるでしょうから。
だから、日ごろから意思の伝達方法(つまり、プレゼンですね)は、しっかりと訓練を
されているのだろうと思います。
特に、大きな部隊を率いる人になればなるほど、考えていることをきちんとみんなに
伝えていくにはそれなりの工夫(エンターティメント的要素)が必要不可欠であることを
体でご存知なんだと思います。

消防のように死と直結するような場で鍛えられる情報伝達の技術(プレゼン)とは
こんな凄いものなるんですね。
ほんとに、心底驚かされました。
途中、若干脚色が強すぎる印象を受けないでもありませんでしたが、だけど、このプレ
ゼンに強烈な感動を覚えると同時に、うまいプレゼンとはその準備(工夫)にどれほど
時間をかけているかで決まることもわかりました。

さて、1月27日に2年生の最後のゼミでは、独自のプレゼンをするよう要求しています。
失敗してもいいから、必死で考えて、伝えたいことをきちんと伝えるプレゼンをしてほしい。
その時、佐藤さんのようなプレゼンはレベルは違いすぎますが、多少なりとも参考になる
はずです。
勉強しておきましょう。



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