2016年5月21日土曜日

システムor人間、明日選ぶべきは?

昨年同様、今年もまたボリュームのある仕事をしないといけない時期になりました。
部外秘の仕事のため自宅での作業となります。
しばらく休日はこれにかかりきりとなり、おそらく平日も可能な限り自宅に籠り、
この作業に没頭することになるでしょう。
昨年のこの仕事の締切近くの頃のスケジュール表を見ると、次のようになって
いました。「不在(自宅にて仕事)・・・」というのがそれです。


今年は、6月20日がこの仕事の締切なので、その日までは授業や会議以外は、
この作業に捧げることになります。
しばし、今現在以上に時間がない状態となる予定です。
ゼミ課題や卒論等で打合せ&相談がある時は、早めに申し出てください。

今日からこの仕事に着手し、自宅での作業を始めました。
が、なかなか最初はエンジンがかからず・・・。
本来明日の午前中にやるつもりだった授業準備をやり始め、その関係での連絡を4年(13)
塚田と松崎にはメールでしたり、さらに、大学で作業していたはずの塚田とはチャットで
やりとりをしたりして(塚田は、チャット機能が初めてだったようです)、おかげで、
そっちの準備を早々に終えることができました。^^;

一仕事(?)した安ど感で、つい・・・そばにあった上田紀行さんの本に手を出して
しまいました。読み始めてしまいました。
「人間らしさ~文明、宗教、科学から考える」という新書。
上田さんは東工大の先生で、私とほぼ同じ年齢です。かなり前から私はこの方のファンで、
この方の本は、スリランカの悪魔祓いを初め、いろいろと読んでいます。

目の前の仕事をせず、つい手を伸ばした本ですが、結果的に、全部読むまでには至らず
半分ほどで終わりました。
 
上田ゼミは東工大の学部の全学年を対象にした一般ゼミ(ガリッジ塾みたいですね)だ
そうで、ある年、男子学生8人しか集まらなかったそうです。
仕方ないので、「男臭くやろう」と始めたとのことですが(ガリラボの男飲みみたいですね)、
初回に発表した学生のテーマが恋愛論だったとか。
そんな話を男ばかりで議論していたら吐き気がしてきた、と(笑)。
それで、2週間後の次のゼミまでに女子学生を口説いてゼミに連れてくるようにと
男子学生たちに大号令をかけたということでした。
上田さん自体が慶応の看護系学部で講義を持っていたので、その女子学生に
「ぜひ来てほしい」と伝えたら6人の女子学生がゼミに参加してくれたそうです

大よそ男女半々で色々な議論をこのゼミでやっていったらしいのですが、ある時、慶応の
女子学生がこういったそうです。
  「こんなにディスカッションするゼミは他にないと思います。きっと人間が好きな
  人たちが集まっているのだろうと思って参加したのですが、東工大の人たちがこんな
  に人間に興味がないということにびっくりしました」
この評価(?)を聞き、東工大生たちはびっくり仰天。ショックを受けたそうです。
上田ゼミに集まる東工大生は、この大学の中で最も人間好きの学生が集まっていると
思っていたからです。

それから、上田さんがその女子学生たちに「東工大生についてどう思うか」と聞いたところ、
  「東工大生は人間味がありません」
と話し、さらに
  「人間のことを話しているのだけれども、人間がロボットであっても全く変わらない
  ような言い方で語る人たち・・・」
と表現したということでした。
 
これを読み、私と家内とがこれと同じ関係だと思い、家内にこの本を紹介したら家内も
興味深く読んでおりました。家内は看護系、私は工学系です。

今もその傾向がありますが、私の行動パターンは恐らく東工大生とかなり似ている
だろうと思います。
ものごとをシステムとしてみる癖(思考の癖)があります。
この論理の中では、多様な個物は、無意識に取り替えが利くものとして捉えられています。
そこには、「かけがえのなさ」みたいなものが欠落しているというか、何というか。。。

私は工学系の中で育ち、それを専門にした思考枠の中にどっぷりつかっていたのですが、
「どりぃむ~それぞれのカタチ~」にも書きましたが、ゼミ生たちのおかげでそうした
思考に捉えられていることに気づかされました。
東工大の上田ゼミの学生たちも同じことを感じたたことでしょう。
工学的思考にいると、人間をシステムとして見てしまい、人間からの「声」がきちんと
聞こえなくなってしまっている。
人間とロボットの区別がつかなくなるというか・・・そんな感じになってしまっている(恐ろしい)。

昨日、「情報社会とコンピュータ」という講義を行いました。そこでは、ビッグデータ解析に
代表される情報技術の進展で人間がデータ化されていく現代において、「人間」という
視点の重要性を何度も話しました。
私のゼミでもコンピュータはかなり活用しているわけですが、その重要性を学んでいますが、
しかし同じぐらいに人間の重要性を学んでほしいと思っています。
もちろん、これはゼミ生だけでなく、まだ工学的思考の呪縛に囚われている私こそが
もっとも学ぶべきだろうと思っていることですが。
  
ということで、やるべき作業があるにもかかわらず、明日も続きを読もうか、と。
さらに、その横には希望学の本もおいてあります。
これもほぼ東日本大震災以後の「人間」の記録です。
人間をきちんと考えることは興味深いものです。

が、私には、目の前に、やるべき(やらないといけない)仕事(物事を完璧にシステム
としてみていく仕事です)があるわけで・・・。困りました。

どうするかなと迷っている時に、塚田からメールが届きました。
「今から帰ります」との報告メールでした。
塚田は6月初旬、全国公立大学学生大会の事前ワークショプのため北九州に派遣する
ことにしました。4年(13)中村も一緒です。
今回の震災を受けて、今後のことを睨みながらの派遣となります。
2人はきっとシステム的というよりも、人間の声に耳を傾けることを重視したことを
今後やっていくことになるはずです。
となると、ことは簡単です。
明日は、続きを読もうと思います。^^



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