2011年12月4日日曜日

ポジティブに人の言いなりになる

久々の休日ということもあり、2009年3月に日本で公開になった映画「YES MAN
DVDを借りてきました。
かなり前にM2(10)松尾が茂木健一郎さんの新聞記事(ガリラボのホワイトボードに
貼ってあります)を持ってきて、茂木さんがその中でこの映画のことを触れていたの
で、ずっと気になっていました。
映画のキャッチコピーは、

  もしもすべてに”イエス”と答えたら。
  それは今まで誰も気づかなかった幸せになる方法。

とあります。

何にでも「ハイハイ」と言うと、自己が無いように感じ、個性が欠落したあまり良い
印象を持てないのが普通でしょう。

人の言うことに従順に従うのは、確かに個性的というのとは、違うように思えます。
日本で「個性を伸ばす教育」が主流になった時代には特にそういう印象が持たれた
のではないかと思います。

ところが、この「YES MAN」という映画はその逆をいくものです。
特に、それが米国の映画ということに注意しないといけない。
個性というコトバが最も派手に主張される印象のある国で、その逆をいく思想の
映画が作られているということをです。

しかしよく考えると、個性的というのと人の言うことに素直に従っていくというのは
矛盾しないのかもしれません。
と言うか、たぶんそうなのです。

一時期の個性に関する教育で、個性的と自己中心的を少しダブらせてしまった
感があります。
自己主張のみでは、他者を認識できず、それでは個性が磨かれていくことはない。

そんなことを考えた時、オリンピックの陸上競技400mでファイナリストになった
高野進さんについての記事がネット上にあることを知りました「肯定的無抵抗感覚で生きる」。
ポジティブ・ノンレジスタンスとも書かれています。
120%以上、高野さんの考えに深く、深く納得しました。
一部、抜粋させていただきますが、

世の中で活躍している人々を見てみると、目標を決めて、緻密な計算のもとに人生を歩んでいる人もいるし、英才教育で花開くスポーツ選手もいます。つまり、いろいろなプロセスがあってサクセスに至っているのだろうと思います。そこで、私の場合はどうなのかと振り返ってみると、ここまで述べてきたように、何とも無抵抗な生き方をてきた半生がそこにありました。とにかく、目の前におかれた状況を受け入れてきただけだったのです。ただし、一旦受け入れを決意してからは「仕方ない」とか「この程度でいい」と思って取り組んだことは一つもありませんでした。とにかくワクワクドキドキが好きな性格も手伝ってか、与えられた環境に対して挑戦的に取り組むようにしていましたし、日々創造力を働かせていました。
そんな生き方から掴んだ考え方が、“ポジティブ・ノンレジスタンス”――肯定的な無抵抗です。強い意志で選びとったわけではなくても、置かれた状況に真摯に向き合うと自分の人生が広がる、そんなイメージでしょうか。

これを読むと、イエスマンと重なるところがあり、またこれまでの経験的ですが、伸びる人って
多少そういった要素を持っているように思うのです。
ポジティブな無抵抗。いいですね。自然体な感じです。
極度のオレオレ主義の人に、他者が貴重な知識をもたらすことはありません。



個性的であることはすごく良いことだと思います。
しかし、それを自己中心的とはき違えてはいけない。

大学教育がもしうまくいってなかったとしてら、それは独特の個性主義が強くはびこっている
からでしょう。
学生にしろ、教員にしろ。
卒論だって、新しいことを常に求める。
現代の科学(教育)を支配する教義(セントラルドグマ)で、これをサムシングニューイズム
と言いますが、これに成長期に染まると個性を危ぶむ可能性もありえます。
個性とは何かの土台の上に生まれるものです。
その土台を作るには、特に先人がやっていることをきちんと真似ることに尽きます。
絵画だったら模写。
音楽だったら忠実なコピー。
スポーツだったら上手な人のフォームをコピーする。
どんな専門分野もそうです。先人を忠実にコピーすることが重要なんです。
真似る能力が重要なんです。
ところが学生たちを見ていると、この能力が少し弱い印象を持っています。
真似せず、つい独自のやり方をしてしまう。
実はそっちの方が楽なんです。
無意識にそうしているとしたら、重症です。
成長は難しい。

ということで、肯定的無抵抗(ポジティブ・ノンレジスタンス)、そして観察力を鋭くし模倣能力を
磨くこと、そういったことが学びを深めていくポイントになるように思います。
学生はもちろんそうですけど、ガリラボの卒業生のみなさん、その点を踏まえていっては
どうでしょうか。

さらにもうひとつ。
本を読むこと。
大学と言う閉鎖空間でも視野が狭くなりそうですが、では民間企業だと広くなるかというと
意外にそうでもなく、視野が狭い人に出会って驚くことがあります。
民間だからといって、一般社会にいるからとって視野が広がるわけではなく、そこでは専門
分野に特化することもありますので、それに邁進するあまり、他の分野を知ろうとうする興味を
失い、結果、視野を狭くしている。
要するに、多様な本を読んでいないのだろうと思います。

孝動していきましょう。
行動し、考え、前進していく。
これは、高野さんの言葉ですが、それにひとつ付け加えたいと思います。
多様な読書を心がけましょう。

ここの話と関連しますが、随分前に録画していた仕事学のすすめを今日見ていたのですが、
そこに出ておられた大久保さんの話が印象的でした。
これについてはまた別の機会に書こうかと思います。


話がまとまっていませんが、行間を補いながら読んでもらえると幸いです。

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