2016年7月3日日曜日

同じ作業をコツコツと”考えながら”続けるということ

降ったり止んだりハッキリしない天気でした。
大学評価の第2段階の仕事が届いていたので、午前中、せっせとその処理をしながら、
合間には少しサボって、最近サボっていた情報収集作業をせっせとしてました。

そこで見つけたのが次の写真。
パワーポイント以前というタイトルの記事にあった写真ですが(出典)、1961年ごろの
NASAのエンジニアらしいです。
全体を見渡す為でしょうが、巨大黒板にチョークとハシゴを使って問題に取り組んで
いたようです。すごいですね。^^;



この時代と比べると現代がなんと手軽なことかと思わざるをえません。
パワーポイントとプロジェクトが簡単に使えるようになって良かったですね。

私の体験ですが、学生時代、例えば、実験データを図にするのにグラフ用紙に手で
点をプロットして、それを雲形定規(←わかります?)で曲線で結んでいく作業を
延々とやってました。
非常に手間がかかり効率の悪い作業でした。
嫌になるぐらいに。
でもそれをずっとやっていると、思考が研ぎ澄まされ、データの癖のようなものを
体で感じ取れていた記憶があります。
わかるでしょうか、この感覚。
簡単にグラフが描けると、データ一つひとつにじっくりと注目することは少ないでしょう。
容易な時、人の思考はなかなか駆動されません。
思考が働き始めるのは、そこに困難な(=問題解決の)対象がある場合です。
  
ゼミ生にたまに話す、伊藤忠商事元会長の丹羽さんが随分前にTVで話されていた
エピソードを思い出します。
東大を卒業後、ある大手銀行に努めた方の話です。
私からこの話を聞いたゼミ生もいるはずです。
その銀行に勤めた方の最初の仕事は封筒のあて名書きだったそうです。
1年ぐらいそれを続けていたということだったと思います。
 
普通に考えると、なんでこんな仕事を、と思いますね。
そう思っていると、宛名書きという単純作業は苦痛でしかないわけですが、
この方は、この作業を思考する場へと変えていったのでした。
この銀行の取引先をしっかりと頭に入れよう、と。
その結果、1年後(だったと思いますが)にはもっとも取引先を知っている人間と
なっていたそうです。
そして、最終的にこの方は、この銀行の頭取にまでなられたそうです。
残念ながら、宛名印刷は現在はPCで簡単にできますので、もうこの方のような体験が
出来る新人社員はいないわけです。
なんか、もったいないような・・・
こうした体験に代わるものが現代にあるとしたら、どういったものが考えられますでしょうか。
ガリラボを卒業したばかりの12ゼミ生とかは特に、もしあれば、率先してやっていくといいでしょうね。
 
なお、この話はHOPEプロジェクトのため新聞のスクラップ作業を始めた14ゼミ生にしました。
現在、14ゼミ生の一部は、地震関係の記事を読みながら、はさみで切り、スクラップ
作業を続けています。
封筒のあて名書きとほぼ同じ状況です。
どの記事をスクラップするかを判断する過程で、たくさんの記事を読むことになるはずです。
この作業を単に苦痛に思うか、あるいは苦痛だけども、思考する場として利用するか、
どっちにするかは本人の考え次第です。
後者を選び、そして投げ出さずこの作業をずっと続けていけたとしたら、おそらく、
新聞社内部の人間以上に、熊本地震について(さらに他の時事問題についても)非常に
詳しい人になるはずです。
すぐに結果が出るようなものではありませんが、貴重なトレーニングの場のように思います。
  
コツコツと同じ作業を「考えながら」続けていくことは、飛躍のための大事なスキルです。
体は、機械のように毎回正確に、そして緻密に動かしつつ、だけど頭は毎回新しい
ことを考えながらやっていくことが大事なのかなと思います。
一般に、成長しない人はこの逆が多い。
毎回違う動作をやり(毎回やることがその場限り)、それなのに頭はいつも同じ
ことしか(例えば、「だるいなー」とかね笑)考えていないような人です。
 


   

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