限界集落となったうちの地域において、大学生や高校生が活性化を
提言するだけで去っていくのもうやめて欲しいんだよなあ。
提言してもやる人いないから。
ゼミとか授業とかでやるのも、もうやめて欲しい。
高齢化率42%なんだから、わかんないかなあ?
をリツイートされていたことをふと思い出しました(何がきっかけで思い出したのかは不明)。
上記ツイートは2011年2月頃のことです。東日本大震災の直前です。
ガリラボでは現在M2(12)の大塚や坂本らを中心に玉名市でのセカイカメラを使った
事業のまとめ作業をやっている頃でした。
3年生の夏以降ずっと地域での活動に没頭していた大塚に上記の言葉は強く心に
突き刺さったようでした。
もちろんそれは私も同じでした。しかし、立派な提言を残して立ち去っていくタイプの
風の人であることが楽なので、どうしても、そっちに流れてしまう傾向にあります。
口だけは立派なことを言う、そんな感じでしょうか(参考)。
そんな口だけの人材から脱出するため、「輝く知性は行動なしには生まれない」を
スローガンにガリラボは地域にてガリラボでできる範囲で可能な限りの実働を伴う
風の人となるべく活動してきました。
その代表例がうちわEBI'sやきくりん人ではなかったかと思います。
このメンバーは、地域に貢献したというよりも、行動を通して地域とリアルな接触を行い、
その接触を通して多様な学びを体験させてもらいました。
地域という実社会で長期インターンシップを体験させてもらったと考えることができます。
基本的に学びが設計されつくしている学校という場しか大方の学生は体験していない
中で、予定調和的でない地域という野生の学習環境は貴重な体験の場であったろうと
思います。
さて、冒頭紹介したツイートに衝撃を受けた大塚も3,4年生の間は玉名市で活動して
きました。
そうした活動をしてきたからこそ、上のツイートに衝撃を受けるわけです。
一般の学生に、このツイートが発している意味の重さのようなものが伝わることはない
でしょう。
いわゆる、馬耳東風状態となるでしょう。
一般の学生だと、その意味を深く理解するための脳の受信装置(アンテナ)を開発して
これていないからです(いや、脳ではなく体の受信装置といった方が正確かもしれません)。
大塚の場合、4年目に入っているガリラボでの活動経験を通してそうしたアンテナを開発
してきたのだと思います。
大塚は現在、ある企業の長期インターンシップに出かけています。
週に3,4日間で出かけた日は朝から夕方まで、それを3ヶ月ほど続けるインターンシッ
プです。毎週金曜午前中にある勉強会にも自主参加しているようです。
修士論文との兼ね合いもあり、このインターンシップの話を聞いたとき、短期もありましたが、
少し考え、最終的に長期のやつにいくよう大塚に勧め、大塚もその意味をすぐに理解できた
ようでした。
ガリラボで、そして玉名市で活動しきて、上記ツイートを深く受け止めることができる心を
養ってきた大塚だったからだと思います。
このことに関係し、働くことなどを中心に著作のある@InsideCHIKIRINさんが、次の
記事に対し、
連続ツイートをされていました。ちなみに上記記事は、シェリル・サンドバーグさんの
Facebook上での、
募集: ニューヨークで私と一緒に LeanIn で働く編集インターン。
パートタイムで無給。編集とソーシャルな観察に優れ、年末までスケジュール
通りに働けることが必要。
デザインとウェブの技術があればなお良し! 連絡ください。
今すぐでも開始
という投稿に対して怒りの声があちこちに上がったことを知らせるものです。
この記事に対して、@InsideCHIKIRINさんは、
就職のために最も役に立つのは「学位」より「実務経験」です。学位は大金を
払って得るものだと皆思っていますが、実務経験をお金を払ってでも得たい、
という考え方は否定される。それはなぜでしょう?
たとえば、「ソーシャルメディア大学」がつくられ、そこのカリキュラムの一環として、
有名メディア企業での実務研修が授業の一環として行われた場合、「お金を払っ
て実務経験を買う」という状況になりますが、こういう学校ができることは問題だと
思いますか?
「価値のあるものは、お金を払ってでも手に入れたいと考える人が出る」というのは、
市場の大原則です。失業率がこれだけ高い中、「有名企業&NPOで、一流リーダー
と働ける機会」が無料だなんて、超お得! と考えるか、それは労働搾取だと考えるか?
といったことを問いかけられておりました。
私が大塚に勧めたのは「超お得」の判断をしたからに他なりません。
こういうのを交換価値の観点で考えていけない。使用価値として捉えないといけない!
もっとも、超お得となるには、一定の条件がありますけど。。。
大塚はその条件をクリアしていると考えました。
能力があまりない人だと搾取される可能性もありますが、社会人に向き合う能力が
一定以上ある人だと、インターンシップで、特に長期で密度の高いものになると、その会社
が保有しているスキルをかなり吸収できるだろう、と。
(ちなみに、私は大塚同じく大学院の時、2ヶ月間、茨城県の企業の寮に住み込み、毎日インターンシップを
体験してきました。今でもその時のことはよーーく覚えています。特に、毎週土曜の夜、寮の畳の上で、第一線
で働く開発技術者(原子力関係の測定技術開発者)の方と膝をついて飲んでいた経験は忘れられません。当時、
無知な私にとって大変刺激的でした)
典型的な越境学習をしてこれる可能性が高いと思ったのです、大塚の場合。
そうした学習が、なんと”タダ”でできるわけです。
(能力のある)学生の特権といっていい。
能力のある学生は、就職に役立つ能力も手に入れやすい(トートロジーに思えるでしょうが、
微妙に違います。読み取ってください)。
そんなことを思ったわけです。
大塚自身、インターンシップでかなり勉強になると話していました。
当然でしょう。
また、私自身がその会社の方とたまたま会う機会があり、大塚をべた褒めされていました。
これも当然でしょう。
大塚はガリラボで、そして玉名で細かい作業をたくさんしてきたわけです。
要するに、仕事ってそうしたことの延長線上にあるわけですから。
人は経験(特に他者との)から学んでいきます。
デューイという教育学者は強くそう主張しています(100年も前のことですけど)。
またヴィゴツキーは他者とは自分とは異質なカテゴリーにある人で、そうした人が、今日は
自分ではできないけれど、明日以降は独力でできるようになる能力(発達の最近接領域)を
切り拓いてくれることを示しました。
私も強くそれを信じています。
大塚の場合、ガリラボでの活動経験を通して、発達の最近接領域をたくさん切り拓いて
きたのではないかと思っています(もちろんガリラボでの経験意外にもたくさんの経験が
あると思いますが、今回のインターンシップに関する限りガリラボでの活動経験が大きいと
話を聞いて感じています)。
それが現在のインターンシップを非常に有意義なものしている理由ではないかと思います。
発達の最近接領域は一足飛びに大きな可能性を開くものではないのです。
地道に徐々に、やっていくしかないのです。
余談ですが、現在、4年(10)吉村はゼミ生というより、私と一緒にガリラボを運営していく
インターン生のような感じになっています(もちろん無給ですwww)。良いのかどうかおいて
おき、通常のゼミ生とは学びの形態が異なっているでしょう、きっと。
発達の最近接発達領域はどういう様相になっているのでしょう。学習に興味を持つ私として
は非常に興味のあるところです。
次へのステップ(次の可能性)にジャンプするのに、ガリラボという場所はそれなりに
有効な装置(のはず)です。
M2(12)坂本がいくつかの研究室について調査をしていますが、調査を進めるほどに
他との比較をによってガリラボという学習空間の特徴をよく理解できるようになってきました。
よく考えて、この空間をうまく利用していきましょう。
考えもせずにうまく活用できるようになる道具はこの世の中には存在しません。
考えて、活動して、記録し、そして考える。そうして、次なるステップの存在をキャッチ
していくアンテナ(=直感)を育てていくといいでしょう。
成長の条件かと思います。
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