前回エントリーでは前編として4年(10)石原と3年(11)藤本からそれぞれ活動記録の
例とスケジュール管理の例についての取材結果を紹介しました。
石原と藤本の事例だけでも十分なのかもしれませんが、ガリラボの「記録の達人」(と
私が思っている)二人を紹介しないとどうも片手落ちだと考えますので、達人二人(^^)
M2(12)大塚とM1(13)坂口に登場してもらいます。
以下は二人への簡単な取材とそれに対する私のコメントです。
まずはM2(12)大塚。
鞄に入りやすいA5サイズぐらいのノート。
現在長期インターシップに出かけている大塚は、このノートに仕事の記録を取っている
のだそうです。
中味を見せてもらうと、、、、
見開き左側に、インターンシップ先で起きた客観的事実が箇条書きに近い形で
書いてあります。
そして右側には、大塚が感じた主観的なことが綴られています。
左が事実(行動)、そして右がそれに対するリフレクションになっています。
さらにページをめくってみると、大塚得意の図を使った記録もあります。
大塚のこのノートを見て思うのが、このノートは経験学習のサイクルを回す道具(ツール)に
なっているということです。
社会人の成長に欠かせないのが経験学習。
コルプによれば経験学習とは
1)「具体的経験」をした後、
2)その内容を「内省し(振り返り)」
3)そこから経験を抽象し「概念化」し、教訓を引き出しておく、
4)その教訓を「新しい状況に適用する」
といったサイクルを回して初めて人は経験から学ぶのです。
別の言い方をすれば、上記のどれが抜けても学習は起きないということです。
大塚はインターンシップという経験を自分の成長へとつながる経験学習と
するため、その道具としてこのノートを使っていると考えることができます。
経験学習については、昨年(2012/9/17)のエントリーで紹介しました。
記録の大切さを理解したい方はそちらも良かったら読んでください。
大塚の記録ノートの意味がよく分かるかと思いますので。
特に4年生には読んでほしい。
貴重な体験である卒論というものを自分の将来に向けて意味のある経験にしていく
ためにですね!
そして、大塚自身にも読んでほしい。自分がやっていることがどういう意味を持つのか
客観的に捉えることでき、経験学習という理論モデルの意味を体の芯で理解できる
ようになるでしょうから。
次にM1(13)坂口。
坂口については私が気になっていた透明ふせんについて取材させてもらいました。
いつもたくさんの透明ふせんとそれに書き込むサインペンを持っている坂口。
何かあると、サインペンでふせんにさっと書いて、ペタッと貼っていく。
私とゼミをやっているときの彼女の行動パターンです。
どんな使い方をしているかというと、ひとつはスケジュール管理とのこと。
坂口のカレンダーには、透明ふせんがたくさん貼ってあります。ひとつのイベントに
ひとつのふせんのようです。
透明ゆえ、日程が透けて見えるというのがポイントですね。
私が坂口とゼミをやっているときに気になっていたふせんの透明性を利用した
使い方の例が次です。
ゼミで読みながら、本のあちこちに、坂口本人の主観的メモがペタペタと本に貼ら
れていくのです。
最近癖でヴィゴツキーの2重刺激を頻繁に説明用に使いますが、坂口のペタペタの
様子を見ていると、本という対象(第1刺激)に対し、透明ふせんという手段刺激(第2
刺激)が、坂口内の言葉を引き出し、それまで何の特徴も持たず均質的だった本が、
ペタペタで非均質化され、坂口にとって意味を持つものへと変化しているように見えます。
もちろん私もペンをもっていますから大事そうな箇所にマーキングはしていきますが、
私が本を読むときに持っているのはだいたい赤ペンですので、それはラインを引くと
いう随意行動は促してくれる程度で、私の場合はおおよそそこで終わり。
言語化までたどり着くことはほとんどありません。
それに対し、坂口の四角い透明ふせんは、意識の底から言語を取り出してくるための
手段刺激となっている。
坂口は意図的か無意識かは不明ですが、外部環境を変えるために言語を取り出す
透明ふせんという手段刺激を読書という行為に持ち込み、無色透明な本を、色のついた
マイブックへと変化させ、それを通して自分を作り変えてきたと言えそうです(ちょっと
大げさですかね。^^)
言語(言葉)の大切さは、それこそ言葉にならないほど大切です。
ヴィゴツキーもその重要性は最上級に考えていたぐらいです。
だからガリラボでも何度も何度も繰り返し言葉の大切さを話してきました。
透明ふせんはそうした言葉を効果的に誘導するツールとして素晴らしい機能を持っている
ように思います。
こんな強力な威力を発揮するツールなわけです透明ふせんは。
どこにあるのかと聞いたら、100均にあるのだそうです。
むむむ、、、、ダイソー恐るべしです。
最後にもう一度大塚に登場してもらいます。
大塚が手にしているのは自分のほぼ日手帳です。
居合わせた4年(10)清原のほぼ日手帳(上)と大塚のもの(下)と比べると
厚みがもうすでに違っています。^^;
大塚のほぼ日を見せてもらったところ、ページ上部には食事のことが書いてあり、
中段は、仕事とゼミとに欄が分けられ、インターンシップで気づいたこと、そして
私とのゼミで気づいたことなどが主観的な言語表現にて綴られていました。
厚みが増していたのは、色々と貼りつけてあるからです。
これは、北海道旅行にいったときの様子を書きとめたものとのことで、北海道の
手書き地図の周囲に事実と感想とが書かれていて、その横に絵葉書が貼りつけて
ありました。
絵葉書をひっくり返すと、裏にその旅行の感想が書いてあります。
旅行してただ「楽しかった~♪」だけでは、貴重な体験の意味のほとんどが捨象され、
体験を経験へと転換できないでしょう。そういった人たちに比べ、大塚の旅行は、
ほぼ日の上で2度目の旅行を行い、体験をほぼ日という言語空間(リフレクションの場)に
よって経験へと昇華させているのだと思います。
わがゼミ生ながら素晴らしい。
ただ、私もここまでは無理そうです。^^;
ではその私はどうやっているか。
私のやり方については気が向いたら後編として紹介したいと思っています。
記録していないので忘れるかもしれませんが。。。笑
以上、前編、中編で4人のゼミ生に登場してもらいました。
身近なモデルかと思います。
参考になるところは今日から早速模倣していってはどうでしょう。
1年後、あるいは数年後、学習が強力に進んだあなたはとんでもない人物へと成長して
いるでしょう。^^;
0 件のコメント:
コメントを投稿