院ゼミでは「ノットワーキング~結び合う人間活動の創造へ」というテキストを使っています。
来週火曜日のゼミの予習に4章を読んでいたら、冒頭に、次の引用がありました。
藪の中でミソソザイを見て、「ミソソザイ」と呼んで、尊大にも歩き過ぎていくことは
何も見なかったことを意味する。
ミソソザイを見て、立ち止まり、観察し、その存在を感じ、しばらく我を忘れ、藪の
木陰に立ち止まっていること--そのとき我々は「ミソソザイ」の存在を感じたと
いえるかもしれない。それは世界とひとつになった重要な瞬間である。
ミソソザイとは、調べるとこんな小鳥のようです。
日々、普通の生活をしているとき、「尊大に歩き過ぎる」ことがほとんどです。この
意味で私たちは普段特に何か見ているわけでもなく、自分の生きている世界の
存在を感じているわけでもない。
上記引用の後にこんな文章があります。
しかしわれわれとはちがって、日々の生活にこだわらない芸術家は、われわれが
自ら狭めた感受性を拡張するかのように世界とひとつになり、われわれが知ってい
るつもりだったけれど知らなかった世界を言葉や絵で表現する。
これを読み、これは「風の人」の役割そのものだと思います。そうすると日々の
生活をしていて何も見ていない人たちが「土の人」に対応するでしょう。
「風の人」ってその土地とひとつとなる芸術家の立ち位置にいることになるんですね。
私は、なぜか自分でも理由はわかりませんが、松尾芭蕉の
よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな
という句が大好きです。
薺(なずな)とは別名「ぺんぺん草」とも言って、ごくありふれた植物で、咲いてても
気づかれないことがほとんどのようです。
だけど、松尾芭蕉のような芸術家になると、普通の人が「尊大に歩き過ぎる」ところで
立ち止まり、世界と向かい、薺という存在と向き合い、それを言葉にして、風景から
切り取り、われわれにその存在を教えてくれます。
2008年12月、06ゼミ生が3年生だったころ、ガリラボは始めて大学の外に出て、
フィールドワークを行いました。場所は、菊陽町。その時の様子はこちら!
地域資源の発見の練習という色彩の強いものでした。
当時、こうした活動は「Produce-X」と呼んでいましたが、別称で
薺(なずな)花咲くプロジェクト
とも呼び、風の人である学生が地域の存在に向き合い、それを言語・画像・動画表現する
ことをやりました。
あれからもう5年経ちます。
逆か。
まだ5年しか経っていないのですね。わずか5年でガリラボは激変しましたから。
さらに、実は06ゼミ生たちと実施する前、夏真っ盛りの8月に、社会人集団で練習を
していたのです。その様子はこちら!
院OB(06) 黒田を中心に、当時院生だった院OB(08)佐藤、また興津会会長のOG(03)宮川
(旧姓佐藤)などもおりました。
多くが自治体職員さんで、今はガリラボで顔なじみになった玉名市役所の平野さんも
おられます。
ほんとに暑い時に、玉名市の岱明町を練り歩き、この集団で色々と実験的試みを
やってきました。
ガリラボの現在の活動のルーツは、この時の夏のまち歩きにあったと言っても良いかと
思います。
実は、この社会人集団の名称は、
ノットワーキング塾
というのです。
現在はたまに飲み会があるぐらいで、活動を休止していますが、当時は毎週夜、
ガリラボにメンバー(塾生)が集合し、勉強会を行っていました。
懐かしい。
さて、現在読んでいるテキスト「ノットワーキング」でそこに出てきた文章が
芭蕉の薺の句を想起させ、そうなると必然的に私の頭はノットワーキング塾へと
つながっていきました。
思わぬ「つながり」に驚かされました。
ところで、上で引用したテキストには、ノットワークとは、
ある部分とある部分のつながりによって予測不可能な何か新しいものが
創成され、そのつながりに関る主体が自らの生活を変化させ発達する過程
と記述されていました。
ガリラボは多様な人のつながりがによって、ノットワーク的な発達を促し、現在のよう
に活動的なゼミへと進化してきました。
きくりん人がお世話になった菊陽町の増永さんもノットワーキング塾からのつながりが
縁でした。
ガリラボは、今後も多様な人たちとの出会いを大切にし、その人たちとのノットワーク的
なつながりを大事にし、発展を続けていきたいと思います。
午前中、3年(11)清田からメールが届きました(表現は変えてます)。
最近、ゼミ内で鈴木敏夫が話題なので、あるラジオ番組を先生に紹介する
ことにしました!
鈴木敏夫のジブリ汗まみれ http://www.tfm.co.jp/asemamire/
映画の製作過程、メディア論など様々な分野の話題を扱った面白い番組です!
Podcastで過去の番組も聞くこともできます。
こういった何気ない情報提供が今後どういった発展を促すかはもちろんわかりませんが、
私は個人的にこういった情報提供は大好きです。
清田には感謝してます。ありがとう。m(_ _)m
先の発展はおいておき、とりあえず清田がこういったことが好きだと言うことは少なくとも
私の頭にはインプットされました。
今後ガリラボでの色々なプロジェクトを計画していくときに、このことを思い出し、計画の
中に組み込んでいくことになるでしょう。
情報をたくさん受信できるのは、実は情報を提供(発信)した人たちです。
機械(コンピュータ)が扱う形式情報と異なり、人間が扱う生命情報の持つ特徴です。
情報を発信し、つながりをつけ、ノットワーキング的な発達過程へと自分の身を
おいていきましょう。
何人か、こうしたことが非常に上手なゼミ生がいます。
生得的なものではなく、いつかの時点でそういった能力を獲得したのでしょう、きっと。
羨ましい限りです。
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